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第55話

「真咲ちゃーん!ずっと携帯鳴ってんねんけどどうするん?」 「えっ、あ、ごめんね二人とも、ちょっと」 「ついでに支度済ませてはやくしろよな!」 蘇芳くんの声に慌てて五十嵐くんと風見くんに謝る。朝からなんでこんなにドタバタしてるんだろうと少し気落ちしながら部屋に戻るとひょっとこのお面を被った蘇芳が卓上に置かれた僕の携帯を指差していた。 狐面は……? 危うく出かけた疑問を飲み込んでかけてきた相手を見ると部長さんだった。 「お待たせしてすみません、おはようございます。ちょっと立て込んでて……」 「おう、おはよ。大変らしいなーはやばや噂になってたぞ……ああ、てかこんな悠長に話してる場合でもねえか、花の世話は代わりにやっとくから気にすんな。それだけ、じゃ。よろしく頼んだぞ」 「すみませ、えっ何を?」 内容的にはとても有難い申し出だったけど最後の言葉に首を捻る。切れた通話画面を見てぽかんとしていると再び呼び鈴の音がして支度をするべく自室に引っ込んだ。

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