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第62話 side.風見

藤代が教室まで辿り着くのを見届けてからおとなしく自分の教室へと向かい、結局サボることも無くつつがなく午前の授業が終わった。昼休みの開放感からざわざわとうるさいそこから立ち去ろうと席を立つと、耳をすませなくてもここ2日で嫌という程頭に響く声が廊下から聞こえてくる。 聞いたことの無い声色が複数聞こえて思わず眉を顰める。 連れてるやつ増えてねえか?つか、やっぱ居るんだろうな、藤代。 ただでさえ歩1人でうるさいと言うのにこれ以上増えるのは勘弁してもらいたいと思いながら、もしかしたらと考えると自分の席へと逆戻りしそうになる足を廊下へと動かした。扉を開けて視線の先に捉えると同時に呼びかけられる。 「おー!賢二ー!飯行こーぜ!!」 わずか数メートルの距離でも声を張り上げ、腕を大袈裟に振る歩に逸らしかけた目が振られていないもう一方の手の先にいった。ガッチリと手首を捕まれ引っ張られている藤代が見えて内心で思い切り舌を打つ。 昨日とは逆だといってもあいつの顔色からして具合が良くないのははっきりしていた。周りに居る奴らも原因だろうが。 生徒会の双子会計と書記に……あと1人居るが誰だ? どっちにしろ生徒会役員が傍に居るのはいただけない状況だと出そうになるため息を飲み込んだ。

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