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第63話 side.風見

じっと見ていたのに気づいたのか苦笑しながら仲又颯太と名前を告げたそいつはどうやら高等部からの編入生らしい。特待生で歩と同じSクラス。笑った時に覗く八重歯が印象的なやつ。外部生だったのもあってまだこの学園に馴染めないんだろうという雰囲気はある。今取り巻いてる中なら1番無害だと結論付けて直ぐに意識の外へといった。 それよりも厄介なのは役員が3人もいる事だ。大方、歩と同じクラスか藤代を呼びに行った時にその場に居たかしたんだろうが……。 食堂への道すがら考えながら歩いていると、ついに痺れを切らしたらしい双子が首を傾げて尋ねた。 「ねえ、歩」 「どうしてずっと」 「「その子の腕、引っ張ってるの?」」 「だって歩くの遅えからこうしとかないと真咲置いてっちまうだろ!」 歩の返答に不満げな双子はじっと藤代の方を見つめる。それにたじろいだ様子で恐る恐る掴まれている腕をやんわり引いて困ったように眉を下げた。 「五十嵐くん、あの、もう離しても大丈夫だから……行き先は分かってるし、ね?」 「そうそう、置いてけぼりくらわせないように俺も見てるしさ。さっさと行こうぜ」 見かねた八重歯の奴がフォローを入れて渋々掴んでいた手を離した歩は双子に挟まれそれぞれに腕を組まれていた。

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