45 / 52

第45話

はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…… さっきまでの悲壮感は、感じられない。ヤってやるというギラギラとした執念だけが、この男を突き動かしているように見えた。 「幸い、女みてぇな顔してるし。ちんこを隠して、女とアナルセックスでもしてると思えば、……何とか勃ちそうだぜ……」 腿裏に手を掛けられ、片膝を顔の横まで持ち上げられれば、後孔が男に晒される。 「……」 苦しい体勢に、思わず顔が歪む。 だけど、どんな反応もこの男に与えたくない。 絶対、屈したくはない。 ……はぁ、はぁ、はぁ、 その体勢のまま、男がじっと僕を見下ろす。 脳内でモザイク処理でもしているのだろうか。言葉とは裏腹に、僕の肉茎(ソコ)を隠そうとはしない。 ピクッ…… 小さく身体が震え、男の眉間に皺が寄った瞬間──まだ何の準備もされていない窄まりに、男の先端が宛がわれる。 ……え…… 此処からでは、見えない──けど、いつの間にか男のモノが太く、硬く育っているのが解った。 「……ゃだ、っ!」 抵抗しようにも、ベッドに押し沈める男の腕力は強く。自由な方の足で男の身体を蹴ろうにも、上手く踵が引っ掛かってくれなくて。肘を伸ばし、男を突っぱねようとも……ぴくりとも動かない。 「うるせぇっ!! ヤらねぇと、俺もお前もただじゃ済まねぇんだよ!」 ズンッ── 怒号と共に、容赦なく捩じ込まれる怒張。メリメリと襞が引き裂かれ、激痛が襲う。 「──ぃあ″っ、ぁあ″あ、……!」 「そんぐれぇ、我慢しろやっ!!」 腿裏に掛けた手を外し、僕の額に手のひらを当て、ベットに強く圧し付ける。 憎しみの籠もった舌打ちをした後、胸と胸を重ね合わせ、乱暴に僕の口を唇で塞ぐ。 ズッ、ズッ、ズッ、ズッ…… 望まない者同士の性交。 空っぽの身体。 ただ虚しいだけのこの行為を、ただ只管にやり過ごせれば……良かったのに…… 「──ッ、!」 ガクガクガクガク…… 突然、身体が戦慄く。 と同時に襲う、僕の身体を押さえ付ける手、手、手── 目の前に広がるのは……黴と煙草の臭いが染み付いた、薄暗い溜まり場の部屋。 薄闇に光る、カッターの刃先。 ……助けて、ハイジ…… 唇を割り開かれ、咥内へと侵入する男の舌先。激しく律動し、ナカを引っ掻き回されながら咥内を弄られれば……目尻から涙が溢れ、こめかみへと伝う。

ともだちにシェアしよう!