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7 体験談

 土曜日の学校帰り、竜生(りゅうせい)(けい)数輝(かずき)の三人は、学校近くのファストフード店で昼食を摂ってから、数輝の自宅へ向かった。  学校からバスで十分といった距離にある数輝の家は、住宅街の中でも目立つ程の大きな家だった。  広い玄関へ入ると、数輝の母親が出迎えた。モデル体型の彼女は、シンプルなワンピースを着こなしている。 「あら、いらっしゃい。」  それだけ言うと、彼女は気を利かせたように何処かへ行ってしまった。   「梨尾家に170センチ以下の人はいないんだ。」  こっそり蛍が竜生に囁いた。数輝が190センチ近いのは、やはり遺伝子なのだと竜生は納得する。  二十畳以上あるリビングルームへ通されると、勝手知ったる幼馴染の家を蛍が率先して移動した。そして細かいガラスのスリットが施された、スライダーになっている扉を中央から分け放つ。  そこには据付の長いテーブルがあり、ゆったり座れるビジネスチェアとTVが各四つ並んでいた。  蛍は無数のゲームソフトが並ぶ棚の上から、充電中の複数あるゲーム用コントローラーを一つ手にすると、右端の座席に家主に断りもなく座った。 「プロゲーマーの合宿所みたいだろ?」  得意気に蛍に言われた竜生だったが、プロゲーマーの合宿所を見た事がないので、愛想笑いで頷いてみせた。 「うちはゲーム機、一人一台だからね。…あ、因みに母の分だけは、彼女の部屋にあるんだ。」  数輝の説明を受け、竜生は梨尾家が五人家族である事を把握した。  蛍が一人でゲームをしてると言ったので、彼を残して二人で二階の数輝の部屋に向かった。  中へ入ると、十二畳程の数輝の部屋で、セミダブルのベッドが存在感を放っていた。  大き目の本棚には参考書や辞書の類が並び、一部を少年コミックが二十冊程占めている。BL関連の物は一切、見当たらない。何処かに隠しているのだろう。  数輝が勉強机の上のノートPCを起動させた。そして、無数に並ぶデスクトップ上のアイコンにカーソルを合わせて説明し出した。 「こっちのソフトはHTMLを理解してる人向けの奴で、こっちはアイコンとかで直感で扱えるタイプ。」 「直感で?それ、楽そう。」 「俺の兄貴が作ったソフトだけどね。」 「へぇ。お兄さんも腐男子なの?」 「兄貴は巨乳OLが好きだよ。」  ソフト自体は、あらゆるシミュレーションゲーム作成用に特化しているという事だった。  一時間近くみっちり教えて貰い、竜生が二つのソフトの使い方を理解したところで一旦、休憩する事になった。  一階で遊んでいる蛍の下へ行く。 「こいつら、ガチ勢だ!よってたかって俺にぶっ掛けてくる!」  今も尚、蛍はゲームに熱中していた。イカになったりヒトになったりして、色を塗って陣地を拡大していくゲームをプレイしている。 「何?集団レイプ?」  数輝が蛍の言葉を下ネタへと変換した。 「違うわ!俺のイカちゃんを穢した言い方すんなよな!」  蛍のゲームが一段落して、三人はリビングルームのカウチソファへ移動した。そのタイミングで、数輝の母がアイスコーヒーとケーキを出してくれた。そして、彼女はまた何処かへ行ってしまう。干渉したがらないタイプなのだろう。  三人だけになると、数輝がゲーム部屋に行くよう誘導した。各自出された物を持って移動する。  数輝を真ん中にして、ビジネスチェアに三人で落ち着くと、数輝が好奇の眼差しを竜生に向けてきた。 「リアルゲイの話、聞かせてよ。」 ――ゲームでもさせられるのかと思ったら、それか…。  蛍の拒絶反応が予想出来たので、竜生は躊躇った。 「嫌だ、聞きたくない!」  案の定、蛍が耳を塞ぐ。  数輝は徐に立ち上がると、ゲーム部屋に放置していた通学用リュックから、CDと本を取り出して蛍に渡した。 「じゃあ、蛍はこれ。桜井さんに借りたBLCDでも聴いててよ。その原作コミックもどうぞ。」 「わ!初めてだな、BLCD!」  蛍は嬉々として受け取ると、早速ゲーム機で再生し始めた。 「蛍から大まかな話は聞いたんだ。相手、イギリス人だったんだってね。どんな人?」  蛍がヘッドホンをしたところで、竜生は話してやる事にした。 「綺麗な人だったよ。俺より二つ年上。住んでた家の隣の人で、直ぐに友達になってくれた人だった。背は俺と同じくらいで、ブロンドで碧眼。」 「写真ある?」 「あー、今は無い。日本で契約したスマホにはデータ移してないんだ。」 「じゃあ、今度見せてよ。」  竜生は軽く頷いた。 「俺が日本に帰る事になって、クリスに…あ、クリスって名前なんだ。その彼に急に告白されたんだよね。しかも抱くっていう展開で戸惑ったけど、断れなかった。…逆だったら、断ってたと思うけどね。」 「俺的には志柿君受も有りだけどね…。」  数輝に不穏な事を言われたが、竜生は聞き流した。 「彼の部屋で彼にキスされて、大丈夫そうだなって思った。…自然な流れでフェラされて、だんだんその気になっていったよ。…凄く上手くてさ、直ぐイきそうになったけど、()れる場所考えたりしたら、堪える事が出来た。」 「初めてなら、そうだよね…。」  数輝の何処か上からな物言いに、竜生は怪訝な顔をしてみせた。 「梨尾君は経験ないんだよね?」 「…ないけど、ノンケならそうなるの想像出来るよ。はい、続けて、続けて…。」 「特に男同士の知識はなかったけど、相手の扱くくらいはしたよ。フェラは無理だったけど。…その間にクリスは潤滑剤になるクリームを自分のお尻の穴に塗り込んでて、そうこうしてる内に俺はベッドに押し倒された。それで彼が俺のにゴムを付けてくれて、それからゆっくり跨られたんだ。女の子とは違う感覚で呑み込まれて、一瞬で全て持っていかれた感じになったよ。」  そこで急に蛍がヘッドホンを乱暴に外したので、竜生は口を噤んだ。 「音が生々しいわ!…よく見たらR18ってなってんじゃねぇか!桜井さん、同い年のくせに、これダメだろ!」  荒い口調で文句を言う蛍の顔は真っ赤だ。 「喘ぎ声とかヤってる音がリアルだよね。」  数輝がそのリアクションを見て、にやけている。 「リアル過ぎるよ!…で、話、終わった?」 「これからだよ。まだ挿入したとこ。」  数輝の報告に、蛍は再び耳を塞いだ。 「聞きたくない!」 「中って、どんな感じ?」  数輝が竜生を促したところで、蛍は慌てたようにイカが活躍するゲームを起動させると、ヘッドホンをしてプレイし始めた。それを確認して、竜生は話を再開する。 「熱くて、ちょっと窮屈な感じかな。本来、挿れる場所じゃないしね。でもクリスは慣れてる方だったらしくて、受け入れ感、半端なかったな。挿れてから数回上下されただけで、俺、直ぐにイッちゃってさ…。謝ったら、また準備してくれて復活出来たんだ。今度は余裕持って攻めてあげようと思って、後ろからにしたら、思いの外、ケツ毛が生えててびっくりした。太腿にもびっしり毛があってさ…。でも、全身、金色の毛なんだな…って感心して、なんとか萎えずに出来たんだよね。ちゃんと彼もイかせてあげられたし。」 「初めてで、ソレ、凄いね!」 「女の子とは数回、経験してたからね。あと、俺、本番に強いし。臨機応変だし。」  数輝が視線を蛍に移した。蛍の顔は紅潮したままだ。 「聞こえてたんじゃない?」 「聞こえてない!…もう、俺、帰る!」  ヘッドホンをしたまま即答した蛍は、ゲームを終了させて立ち上がった。

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