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22-2 知られた関係
「やっぱり数輝 、俺達が付き合ってるって、知ってたんだね…。」
梨尾 邸を出た後、木枯らしの吹くバス停までの道すがら、蛍 がショックを受けた面持ちで呟いた。
「うん。…さっきは、ご免ね。キスしちゃって。」
竜生 が謝ると、蛍は首を横に振った。そして、竜生の腕に手を掛ける。
「ねぇ、あのさ、…これから竜生ん家 行って、しない?…ちゃんと最後まで。」
思い切ったような蛍の言葉に、竜生は彼の気持ちを察してみる。
「童貞とか処女とか言われたから?でも、あれ、言ってる梨尾君もそうだから、気にしない方がいいよ。」
「そうじゃなくて…。俺の下半身の気分的に、なんかそうなっちゃって…。」
一時的な気の迷いなら止 めた方がいい、そう思った竜生だったが、紅くなった蛍の表情に煽られていく。
「…そう。蛍君がしたいなら、俺の方は問題ないよ。」
竜生の家に着くと、蛍は先ず、準備をすると言って、トイレに籠った。
――ウォシュレットかな…?
竜生が想像していると、蛍は続いてシャワーを借りると言った。
「準備、手伝おうか?」
「…自分でするから、いい!」
頑なに拒否され、竜生は蛍を浴室に一人にした。
三十分以上が経ち、心配になった竜生が浴室へ赴くと、少しふらふらになっている蛍がいた。
「大丈夫?」
「うん…。」
竜生が裸の蛍の肩に触れると、震えているのが感じられた。
「俺の部屋、暖めておいたから。…先に行ってて。俺もシャワー浴びて、直ぐ行くから。」
蛍は頷くと、服を一式、着始めた。
――全部、着ちゃうんだ…。
寒いので仕方がないと納得した竜生は、蛍と交代する形で浴室内へ入った。蛍の気が変わらなければいいなと思いながら、急いでシャワーを浴びる。それでも、決して無理強いしてはいけないと、強く自分に言い聞かせた。
一通り洗い終え、急いで服を着て二階の自室へ行く。
扉を開けると、カーペットの上に敷いたバスタオルの上で、全裸の蛍が後孔を指で拡張させている姿が目に入った。
「もう!…ノックして、入って来てよ。」
涙目になり、行為を中断した蛍に、竜生は勢いよく抱き着いた。
「そんな蛍君、ヤバい!」
竜生はそのまま蛍を抱き上げ、ベッドへ移動させた。その体に覆い被さり、愛おしさ全開と言わんばかりに、顔や胸にキスを落としていく。
「竜生も…全部、脱いでよ…。」
蛍が咎めるような目で見て来たので、竜生は逸る心をセーブして衣服を脱ぎ去った。
改めて行為に移ると、蛍の首筋に舌を這わせたところで、竜生は彼の下半身に指を滑り込ませた。最初の頃とは違い、人差し指が一本するりと入っていく。中でローションの存在が感じられた。
「…痛い?」
「ゆっくりだと、そうでもない…。でも、ご免、拒むみたいに力、入っちゃう…!」
「仕方ないよ。ちょっとでもいいとこ見つけたら言って。そこを集中して擦ってあげるから…。」
「うん。頑張って、力抜くね…。」
様子を見ながら、竜生は締め付ける其処を拡げていく。
「指、増やしたけど大丈夫?」
「…大丈夫。…ってか、イキそう…。」
無意識なのか、蛍は自分で前を擦っている。
「出来れば、…俺のを挿 れてから、イかせてあげたいな。」
竜生が真剣な眼差しで告げると、蛍は瞳を潤ませて頷いた。
「うん…。少しずつなら、指じゃないの…、挿 れていいよ…。」
「有難う…。」
竜生は蛍の耳元に囁いてから、唇にキスをすると一旦離れ、起立したものにコンドームを装着した。ローションを増やし、慣らした場所に宛がう。
「あ…ちょっと、痛い…かも…。」
蛍の反応に、竜生は進行を止めた。
「無理矢理拡げられるの、辛いよね。…でも、その無理矢理感がなくなったら、後はどうなるのか想像してみて。」
竜生は蛍にイメージさせるように囁いた。蛍は素直に想像を巡らせる。
「痛くなくなって…気持ちいいだけ?…あぁッ!」
その隙に竜生の腰が進められた。
「んッ、今のズルい…!」
「でも…半分、挿入 っちゃったよ。」
その言葉に蛍は愕然とさせられる。
「嘘…!これ半分…?」
「慣れるまで、このままでいようか…?」
蛍が頷き、竜生は最奥を目指したい衝動を抑えた。
しかしそれは数分しか続かず、耐え切れなくなった竜生は、蛍に懇願してみた。
「ねぇ、少しだけ…動いてもいい…?」
「そ…だよね。このままじゃ、竜生、イけないし…。いい…よ。」
蛍が力を抜き、そのタイミングで竜生は全てを彼の中に埋め込むことが出来た。
「あ…奥に…来てる…!」
「うん。全部、挿入 っちゃったよ…。ご免、動くね…。」
苦しそうにしている蛍に申し訳ないと思いながら、竜生は自制出来ずに律動を始めた。
「…声、出していいからね…。」
少しでも痛みを緩和させたくて竜生が囁くと、蛍は吐息に声を混ぜ始め、その表情を変えていった。
「あ、…あ、竜…生…。」
「痛い…?」
「なんか…わかんなく…なってきた…。」
徐々に悦楽を帯びて来た蛍の表情を確認すると、竜生自身も激しく昂った。
「竜生…竜生…好き…!」
「俺も…蛍君が…大好きだよ…。」
二人はひとつになった実感を溢れさせながら、熱い時間を過ごした。
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