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第6話
……びちゃ、
生暖かい、ナメクジのような粘膜が触れた途端、吸い付くようにそこを食まれる。
クチョッ、びぢゅっ……
「あぁ……、いい匂いだなぁ……」
バキュームの如く鼻で大きく息を吸い込み、恍惚とした様子で吐息混じりにボソリと呟く。いきり立つ下半身をグイグイと押し付け、再び食んだ耳朶に柔く歯を立てる。
「……」
……いやだ……
こんな、所で……こんな奴に……
嫌悪感や拒絶感は増していくのに。恐怖で身体が動かなくて。
上から強く押さえ付けられている手の甲に、粗くごつごつとした砂利が食い込んで……痛い。
「……ふぅ、ふぅ、ふぅ」
僕が、これ以上抵抗しないと悟ったんだろう。
含んだ耳朶を何度も舌先で弾きながら、掴んでいた僕の手を離す。……と、僕のマフラーに指を掛け、邪魔だとばかりに引っ張り下げる。
「……」
剥き出された首筋。冷たい空気が入り込み、ぶるっと身体が震える。
「柔らかくて、美味しそうだなぁ……」
暗闇に浮かび上がる、ギラギラと不気味に輝く男の双眸。酷く興奮し、気味が悪い程口元をニタつかせ、汚らしい息を吐きながらそこに貪り付く。
……なん、で……
力を振り絞って、両手で男を押し退けようとするのに。男なのに。情けないほど非力で……
肥えた男の身体は、それだけで大きな岩のように動かなくて。口を塞がれたまま上手く息もできず……指先が震えて、力が抜けてしまう……
ぢゅっ、じゅるるっ……
厭らしい水音。唾液の滴る舌で何度も首筋を舐りながら、強くそこに吸い付く。マフラーを外そうとした方の手が僕の脇腹を弄り、捲り上げた服の裾から侵入する。
「……ん″ぅッ、!!」
氷のように冷たい指先。
ぶるっ、と身体が震えてしまえば、感じていると勘違いしたんだろう。
「可愛いなぁ……ハァハァ……
早く、俺のマグナムを……ぶち込んで、あげるからねぇ……ハァハァハァ……」
容赦なく熱を奪い取りながら、厭らしく身体を撫でまわす。
「んっ、ぅう″……」
……やだ……
逃れられない恐怖が襲い、身を捩る。だけどその指先は、じわじわと肌の上を滑り上げ、胸の小さな突起に到達して──
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