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第7話
「──そこで、何してるッ!!」
怒号と共に向けられる、強くて眩い光。
顔面を直に照らされ、眩しそうに顔を顰める暴漢。
「い、いえっ、……何も……」
顔を背けながら上体を起こし、男の両手が顔の前に掲げられる。
その光が放たれる方へと視線を辿れば、そこにいたのは──懐中電灯を此方に向ける、警察官。
「……」
その制服姿に安堵し、それまで張り詰めていた緊張感が全身から抜け落ちる。
「ちょっと署の方で、詳しく話を聞かせて貰おうか」
ザッザッ、
近付く巡査。酷く動揺した男が、いそいそと僕の上から立ち退く。が、それを許さず暴漢を引っ張ると、僕を気に掛ける様子もなく連れ去っていく。
「……大丈夫だった?」
それまで遠くで傍観していた人物が、巡査と入れ替わる形で僕に近付く。
「……」
肩よりも長い髪。線の細い身体。ふわりと微かに香る、甘い匂い。
端整な顔立ちと妖艶な仕草も手伝い、この暗がりの中で声を聞かなければ、女性だと見紛えてしまいそうだ。
「物騒な世の中だよね」
そう言って、冷たい風に乱された横髪を掻き上げ、上体を起こした僕の前にしゃがむ。
「誰が作ったんだろうね。樫井秀孝の被害者リストが、ネットに出回ってるみたい」
「……」
「その中で、君が一番可愛いって……結構人気らしいよ」
「……ぇ……」
ゾクッ……
思うより先に、身体が震える。
ネットに、そんな情報が……
もしかしたら、もう、学校の誰かに知られてしまっているかもしれない……
「でも、そのお陰で君を見つける事ができたから。僕にとっては好都合、だったのかな」
「……」
そう言い放ち、悪意のない瞳を向けて綺麗に微笑む。
「ねぇ……おじさんの事、覚えてない……?」
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