15 / 71
第15話
*
「……」
どれだけそうしていたんだろう。
寝不足だったせいもあって、気付けば眠ってしまっていた。
陽が傾き、部屋全体にオレンジ掛かった光がカーテン越しに射し込む。
そっと玄関ドアへ向かい、覗き穴から外を見れば、ジャーナリストらしき人影の姿はもう無かった。
ショルダーバッグに必要最低限のものを詰め込み、制服に着替えて外に出る。引っ越しの日まで、戻る事のないように。
茜色に染まった空が次第に色を無くし、藍色掛かった深い闇が反対側から迫って来ていた。
急ぎ足で大通りまで出ると、街灯りや人通りの多さにホッとする。
「……」
人に傷つけられながらも、人に助けられている……なんて。
何だか、滑稽だな……
ともだちにシェアしよう!