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第15話

* 「……」 どれだけそうしていたんだろう。 寝不足だったせいもあって、気付けば眠ってしまっていた。 陽が傾き、部屋全体にオレンジ掛かった光がカーテン越しに射し込む。 そっと玄関ドアへ向かい、覗き穴から外を見れば、ジャーナリストらしき人影の姿はもう無かった。 ショルダーバッグに必要最低限のものを詰め込み、制服に着替えて外に出る。引っ越しの日まで、戻る事のないように。 茜色に染まった空が次第に色を無くし、藍色掛かった深い闇が反対側から迫って来ていた。 急ぎ足で大通りまで出ると、街灯りや人通りの多さにホッとする。 「……」 人に傷つけられながらも、人に助けられている……なんて。 何だか、滑稽だな……

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