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第62話
クチャ……ぐちゅ、
咥内を弄られながら肉茎を握られ、上下に扱かれる。
意思に反し、深部から湧き上がる快楽。その刺激さえ苦しくて。でも、逃れられなくて……
後孔 の疼きに耐えきれず、先端からとろりと蜜汁が溢れる。
……熱い……
その粘液を指で絡め取られ、暫く誰も受け入れていない窄まりに塗りつけられる。指先で襞の回りをトントンとされる度、そこが疼いて堪らない。
………あつ、い……
沸騰した血液が末端まで駆け巡り、上気していく身体。
熱くて熱くて……気がオカしくなりそう……
「………ぅ″、…ッん」
閉じる事を許されない口の端から、混ざり合った唾液が滴る。もっと擦って欲しくて、自然と揺れてしまう腰。
「……ん″ぅ、」
もし、僕が──人生にもしもなんて無いけれど。
……もし僕が、こんな捻くれた性格じゃなかったら。もっと素直に、アゲハの優しさを受け入れられていたなら。
若葉の望む通り、アゲハを好きになっていた……のかな……
……はぁ、はぁ、
腿裏に手を掛けられ、割り開かれた両膝を胸の方へと大きく持ち上げられる。
薄闇の中、露わになる後孔。ひんやりとした空気。妙な現実感と現実味のない感覚。
「……」
あれだけ熱かった熱が、引き潮の如く引いていく。この身体の主が僕であると、やっと認識したのだろうか。
噎せ返るような甘っとろい匂いが、心なしか薄らいだような気さえする。
「……挿れるよ」
上体を起こしたアゲハが、僕を見下ろしながら腰を寄せる。それを黙って見つめていれば、予め解された窄まりに鋒が宛がわれる。
ズ、ズズ……
目を伏せ、ゆっくりと穿つアゲハ。
襞をこじ開けながら、腸壁を押し広げられる感覚はあるのに……それ以上、何も感じない。
「………ぅ、はぁぁ……」
熱い吐息。
苦しそうに眉根を寄せ、身体を震わせながら迫り、胸と胸を重ねるように僕の身体を覆う。
はぁっ、はぁ……
首元に掛かる乱れた呼吸。僕の頭を抱えるように片腕を通す。
「……さくら」
蕩けるように潤んだ瞳が、間近で僕を見つめる。
「好きだよ」
「……」
「こうして抱きたいと思う程……ずっと前から……」
「───!」
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