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コーヒーを注文した後、昂祐がいつもの台詞を吐く
理巧はその金額に驚きを隠せなかった
「…僕、そんなお金……」
「だったらウリでも何でもして金作ってこいよ!!」
「……昂祐…」
付き合い初めの優しかった昂祐の面影を、理巧は必死に探した
しかし、それはもう、ない……
昨日の男との事を思い出し、理巧の背筋がゾクッとする
「昂祐…」
その時、甘い香りがした
昂祐と理巧は、その声や匂いに誘われる様に顔を向ける
するとそこには、艶かしい雰囲気のする細身の男性が立っていた
「若葉、さん…」
「タイガの代役、僕じゃ不服?」
艶のある赤い唇が、綺麗に動く
「…い、いえ」
その妖艶な出で立ちに、昂祐はすっかり顔が緩んでいた
「おい、早く金用意しろよ」
「……う、うん」
思い出したかのように昂祐は理巧に命令した
そして理巧もその気迫に、つい負ける
そう答えてしまった理巧は、どうしていいか解らず、席を外すとトイレに逃げ込んだ
そして携帯を取り出し、昨日の男に連絡を入れる
『理巧です
また、お金が急に必要になってしまい…』
怪しげな携帯のライトが理巧の不安な顔を照らす
送信してから、理巧はまたも後悔と逃げられない現実に表情を堅くした
トイレから戻り、席に着こうとする
「…あいつは俺に惚れてるから、何でも言う事聞くぜ
ちょっと我慢して抱いてやりゃ、健気に金用意してくれてよ」
「……ふぅん」
「俺の財布、ハハハ」
昂祐の言葉に、理巧は雷を打たれたように動けなくなってしまった
それに気付いたのか、こちら向きに座った若葉と目が合う
「俺だって辛いんだぜ
金の事が無けりゃ、男となんて気持ち悪くて抱けねーよ」
「………」
「あ、でも、若葉さんは別格です
俺、すげぇ抱きたいです!
…もっと金用意するんで…タイガさんには内緒で、俺と……」
その時昂祐のスマホが鳴った
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