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ガタガタガタ……
股間から、血が……
血。血。血──
すっかり萎えたイチモツは皮の中に逃げ込み、根元はしっかりとついているものの、そこからドクドクと熱い血が垂れ、精液に混じり床に滴っていた。
「……そんなに気持ち良かった……?」
「………」
「もっと天国、見せてあげようか、……社長」
「………、っ」
誘うような瞳。
その瞳の奥に広がるのは、底の見えない真っ暗な闇、闇、闇──
クッと持ち上がる、鮮血に似た赤い唇の片端。血液で濡れたそれを、妖艶に舌先で絡め取る。
大の大人が、目ん玉をひん剝いたまま涙と鼻水を垂らし、尻餅をついている。
その格好は滑稽で、血と精液に塗れたイチモツを曝すように、両膝を立て、股を大きく広げてガタガタと震えている。
まるで、道中、悪魔にでも遭遇したかのように。
そんな社長を他所に、若葉はスッと身体を起こすと、近くにあった観葉植物の鉢から小型カメラを取り出した。
「……ねぇ、社長。どれがいいか、選ばせてあげようか」
悪い顔をした若葉が、今しがた録画した映像を再生させる。ハンディカメラの小さな画面映し出されたのは、倒されて気を失ったらしい若葉の姿。
「僕に慰謝料として、1000万払うか。
これをネットに流して、性犯罪者として生きるか」
『……ハァ、ハァ……』
荒々しい息遣いをする男が画面に映り、いきり立つペニスを、横たわる美人の咥内に押し込め………
「………ゃ、やめ……やめろォ……」
顔面蒼白の社長の唇が、僅かに動く。
そこから吐き出されたのは、荒い呼吸音に混じる、微かな呻き声。
「それとも──」
スッ。
立ち上がった若葉は、社長を通り過ぎて金庫の前に腰を下ろす。
片手で取り出した札束。
その中身を、社長に見えるようビラビラと高速で捲ってみせる。
──なっ、……
「僕の、下僕になるか……」
鮮やかな血で染まる唇の両端が、クッと吊り上がり……
切れ長の瞳が、妖しく不気味に色付く。
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