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「…やめ…」
逃げようにも、不良に囲まれて逃げられない
沢山の手が伸び、僕は簡単に服を全て剥ぎ取られる
床に崩れ落ち、背中を丸めて体を隠す
そんな僕をニヤニヤしながら不良は見下ろしていた
「ベランダに吊るそうぜ」
そう言って細眉が僕の二の腕を掴んで引っ張り上げる
「…ぃたぁ……」
身を捩ると、不良達はそれに目を見張った
何故かその場の空気が一気に変わる
「おい、何をやっている!」
その時体育教師が駆け付け教室に入る
騒ぎを聞き付けて来たのだろう
胸板の厚みを強調させるピタピタのランニングシャツ
そこから伸びる腕は筋肉隆々であった
刃物で切りつけても、刃の方が折れてしまいそうな程硬そうだ
不良はやべぇ、と呟くと散り散りに逃げていった
「…大丈夫か?」
全裸の僕は、床に座り込み
体育教師に背中を向けて羞恥に震えた
「………」
そんな僕の裸体を
体育教師は心配そうに眺める
首だけを捻り、僕は体育教師を見上げた
[……はい」
小さくそう答えると、体育教師の顔がみるみる赤くなっていく
そして先程とは違う、目付き
ざわざわ……
教室に残っていた数人の生徒が、成り行きを遠まきに見ている
ハッと我に返り、体育教師は落ちていた学ランを拾うと、僕の肩に掛ける
そして残りの制服を拾い集めた
「………」
その時
僕の中で不思議な感覚が襲った
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