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厳格な母のもと、達哉は大学受験に追われていた
高校から真っ直ぐ帰宅すると
達哉は机に向かい猛勉強を始める
それは夜中まで続き
僕はそんな達哉の背中を見ながらベッドで眠る日々を過ごした
「お兄ちゃん…」
そんな勉強漬けで苛立ちを醸し出している達哉に
僕は背後から抱きついた
父は昔、母の機嫌が悪くなると
こうして背後から抱きつき
やがて唇を重ねた
そして、僕が見ている目の前で
二人は裸になって絡み合う
そうすると母の機嫌は良くなり
父は安心した様に再び母に唇を重ねるのだ
驚いて達哉が振り返る
瞬間僕は、達哉の唇に強く唇を押し当てた
「……若葉…?」
そう言った達哉の口内に、舌を忍ばせる
「…んっ」
驚きながらも達哉は、それを拒否しなかった
達哉は椅子を回転させ僕に体を向けると
僕の後頭部に手を添え
達哉から僕に深いキスをする
部屋の照明は既に消えていて
灯りといえば、達哉の勉強机のスタンドだけだった
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