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振り返ると、とっくに部屋に戻っていると思っていた達哉がそこにいた
「………」
その視線は
興味というより
引き留めたい様に見える
その表情を見ているうちに
じわじわと、あの不思議な感覚に襲われる
「……うん」
父の方に向き直り、僕はそう答えた
母はまだ何が起こっているか気付いていない
洗面所で服を脱ぎ
浴室に入る
簡単に体を流した後、浴槽に沈んだ
すぐ近くに大人の逞しい裸体がある
狭い浴槽内では、足がぶつかってしまう為、体を小さく畳む
父は僕の顔を見て、優しく微笑んだ
浮気性でろくに家に寄り付かないけれど
ここには必ず帰ってくる
それは母というより
僕の為だと思って欲しい……
「会う度に大きくなるな」
「……そうかな」
「うん、葉月に似てきた」
そう言って父は右手を伸ばし、僕の頬に触れる
父の眼差しが何だか照れ臭く
僕は首を少し捻って目を逸らす
「おっ、」
すると父が何かに気付いた様な声を上げた
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