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母は、達哉を聖職者にでもさせる気なのか…… 良い歳の男に、恋愛のひとつも許さないなんて そんな、少しでも道を踏み外してしまったら、貴方は崖から落ちて死んでしまうのよ、という呪いの様な強いプレッシャーを達哉に与えて、達哉がまともな精神でいられる筈がない どこか、心の拠り所を僕が求めていた様に 達哉もその鋳型に嵌められた人生から抜け出せずにもがいている様に見える だから僕達は お互いを救うように お互いを求めて 傷を舐め合って 溺れてる それが例え共依存だとしても… 達哉は僕の全てで 僕は、達哉のものだ…… 例え母に引き剥がされようと 僕は達哉から離れない… 「…達哉」 机に向かう達哉を背後から抱き締める しかし、達哉はそんな僕に反応を示さない 「今日は、しないの?」 「………」 肩口に顎を乗せ、耳元で囁く けど、達哉は僕などいないかの様に勉強に没頭していた 「………」 淋しい様な モヤモヤした気持ちが膨らむ 達哉の机にあるスタンドの光が 僕の影を強くした 「……おやすみ」 達哉から腕を離す 満たされない肌が、寂しく 達哉から離れたくないと求めてしまう… 母の言葉で 達哉は呪縛にまた苦しんでいる そう感じても 今の僕に、達哉は救えない… 冷たいベッドに滑り込むと 僕は猫の様に丸くなり、瞼を閉じた

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