29 / 66

10

「僕をどうしたいの?」 抵抗する様子を見せないと、そいつは潤んだ瞳を間近に見せる 「…それは勿論」 体を密着し、下腹部を強く当ててくる その挑発的な態度に、僕は口角を少し上げた 「……男同士のやり方なんて、知ってんの?」 「知らねーよ」 「…ふぅん 知らないでよくそんな事が言えるね」 そう言うと、奴は僕の唇に貪りついた 「…って!」 その唇を犬歯で噛んでやると、男は直ぐに離れる 血が出たのか、唇を拭うと恨むような目で僕を見た 僕は腕を組んで、奴を見下す 「…で、僕をどうするって?」 不敵な笑みを浮かべると、奴はそれ以上僕に手を出す事はなかった 放課後になり 教室を出ようとする僕を、担任が止めた 「………」 空き教室に入ると、担任は教卓に持っていた日誌を置く 「…また新たに、付けたようだな」 その目は鋭く僕を捕らえる 「……付けたって、何を?」 「とぼけるんじゃない!首に付いてるそのマークだ!」 担任は自身の首元を指して言う 「付けてなんかないよ……付けられたの」 「ふざけるな!」 担任が僕に近付き、両手を伸ばす その目は狂気にすら感じる …夏なのに指先は冷たかった 「………っ!」 担任は、僕の首に手をかけ 首を絞めた

ともだちにシェアしよう!