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体格の良い体、鋭い眼孔 襟足の少し長い髪は全て後ろに流し そこから覗く耳には数個のピアスがある 「…何やってんだ、テメェ」 腕を組み、机の上に伏せられた僕とそれを覆う体育教師に睨みを利かせた 「こ、これは…」 体育教師が慌てて僕から退ける 「記念に写真でも録っとくか?」 不良は丁寧にドアを閉めると、ゆっくりとした足取りでこちらへ向かってきた そうしながら携帯を取り出すと、カシャカシャとその写真を録る 「か、勘弁してくれ…」 体育教師は慌てて身形を整えると、不良の前で小さくなった 「だったら、この画像十万で売ってやるぜ!」 「そ、それは…」 「一枚一万、今十枚録ったから十万だ…」 「は…」 以前、三人の不良を蹴散らす程の体育教師は …もうそこにいない 上体を起こし足を組んで、怯える体育教師を机上から見下ろすと 先程舐められた所が急に気持ち悪く感じた 「明日までに用意しとけよ!」 逃げるように教室を出ていく体育教師に、不良はニヤニヤしながらそう言い放つ 残された僕は、服の前を合わせ 床に落ちたズボンを拾おうと机から降りた 「…おい、ホッとしてんじゃねぇよ お前もだ」 不良はこちらを向くと僕に近付いた 「この写真バラまかれたくなきゃ、十万用意しろ」 「………」 僕は、相手をじっ、と見上げた 不良から、強いオーラを感じる 気を付けないと、飲み込まれて駒にされてしまいそうだ

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