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夜の繁華街、たくさんの客で騒然と賑わうだだっ広い大衆向けの居酒屋、折江が予約してくれていた大座敷の一角で冨永は彼と乾杯した。 「誕生日おめでとう、冨永」 自分の誕生日を祝ってもらっている割に本日の主役は仏頂面で明らかに不機嫌そうだった。 「冨永、この店苦手だったか?」 向かい側に座った、一杯目のハイボールを早々と飲み干しつつある折江に問いかけられて冨永はジロリと睨んだ。 「冨永っ、ハピバ~!! おめでと~!! 二十歳と一歳過ぎても相変わらずの男前!!」 隣に平然と座った、やたら距離を詰めたがる飲みサー仲間の西尾の顔面を掌で鷲掴みにして容赦なく遠ざけた。 「いだだだだッ」 「なんで西尾がここにいんだよ、折江ェ」 「西尾も冨永の誕生日を祝いたいって言うから」 折江は淡々と答えて食べ飲み放題メニューに視線を変えた。 懲りずに擦り寄ってくる西尾を容赦なく遠ざけつつ、冨永は唇をへの字に曲げる。 付き合ってる奴の誕生日祝いに、ふつー、第三者連れてくるか? ん、いや、まぁ大人数でワイワイやんのもアリか? でもやっぱ俺は折江と二人っきりの方が……。 「チッッッ」 自分自身の乙女思考に嫌気が差した冨永、これみよがしに舌打ちし、わざわざ折江の手から食べ飲み放題メニューを乱暴に奪い取るというガキンチョ行為に出た。 「メニューはそこにも置いてある、冨永」 「ほらほら、冨永ぁ、次どれ飲む? 何食べたい!?」 「それ以上コッチ来たら灰皿で頭殴っからな西尾」 おかげでしこたま飲んだ。 「冨永ぁ~もっかいちゅーして~あのちゅー忘れらんねーの~お前のちゅーまぢやば~」 「クソが、コイツのせいでイマイチ酔えなかったじゃねぇか、どーしてくれんだ、折江ェ」 「西尾、歩けるか?」 「冨永ぁ~おんぶ~」 「誰がするか、置いて帰んぞ」 居酒屋を出、歩道の植え込みでダウンしている西尾を足で突っついている冨永に、入店時と顔色一つ変わっていない折江は言う。 「ウチに連れていこう」 すでに苛ついていた冨永の苛立ちが一段と増した。 「は? 今から? お前んちにコイツ? それガチで言ってんのか?」 一部の通行人が遠巻きにしたくらいの喧嘩腰な態度に全く怯むでもない折江は淡々と頷いた。 ほんっと何考えてんのかわかんねぇ折江。 後で後悔しても知らねぇからな。 酔いを上回る苛立ちで脳天をいっぱいにした冨永の目の前で折江は酔っ払い西尾に肩を貸してやった。 「行こう、西尾」 「う~~ん……あれ、折江って、意外と力持ちじゃ~ん」 「ッ……調子乗んじゃねぇ西尾ォ、テメェこそ生粋のホモ魔人なんじゃねぇのかお前」 「あんっ、冨永ぁ、力強すぎィっ」 べろんべろんな西尾を両脇から支えてやって二人は帰路についた。 「タバコくせぇ」 アパート一階角部屋の折江宅に到着するなり。 冨永は呑気に寝かかっている西尾を無造作に玄関に放置、素早くショートブーツを脱ぐと、まだスニーカーを片方足先に引っ掛けていた折江の片腕を強引に掴んだ。 明かりを点ける間も惜しんで部屋に引き摺り込み、仕切りのドアを乱暴に閉じ、隅に置かれたベッドへ。 「もう我慢の限界だクソがッッ」 されるがままの折江を押し倒すや否や寡黙な唇にむしゃぶりついた。 レースカーテンだけが閉められて外明かりにぼんやり照らされた室内に、ぢゅるぢゅるぢゅるぢゅる、はしたない音色がしばし響いた。 「……冨永」 無反応な舌に夢中になっていた傲慢な唇が遠退けば、透明な唾液の糸が薄闇にだらしなく連なった。 「あっちには西尾がいる」 「あ? だからぁ?」 「あのままだと、風邪を引くかもしれないし、こっちに、」 「俺達がヤるとこアイツに見てもらいてぇの?」 「今日、ヤるのか?」 「あのなぁ、おい折江ェ、今日俺の誕生日だぞコラ、ヤるに決まってンだろぉが、明日午前の講義は諦めろ、テメェのことハメ倒してやる」 「ハメ倒すのか」 淡々と聞き返してきた折江に堪らなくなった冨永はまた犬のように形振り構わずキスしまくった。 タバコや酒の臭気を纏わりつかせた互いの服が重なり合う。 アルコールで火照っていた肌身が秋と冬の中間地点なる夜に熱せられていく。 「あーーーー……折江の舌ッ……エビチリ味つき……ッ」 「ハミガキしてこようか、冨永」 「はッ……すんじゃねぇよッ……んぶっ、んぶっ……うまッ……んぶぶっ……チンポ勃たせるよーなドスケベな味しやがってッ……もっと食わせろッ……ふーーーッ……ふーーーッ……ふーーーッ……!」 喉奥まで舐めながら一発で火が点いた獰猛な下半身を折江の股間にがむしゃらに押しつけた。 「おらッ、えろいテメェの舌のせいでチンポもうこんなだッ、今すぐ責任とれよ、なぁ、折江ェ……ッ」 いても立ってもいられず、ゴールデンブラウン色のチノパンフロントをガッツリ押し上げるペニスまで折江の片手を導き、恥ずかしげもなく腰を振って一心不乱に擦り当てた。 「ひッッッ」 ただ宛がわれていただけの手に、むにゅ、と揉まれただけで冨永は背筋をゾクゾク波打たせた。 服越しにゆっくり上下に擦られると、引き締まったデカ尻を打ち震わせ、窮屈なボクサーパンツの内側でさらにスケベペニスをぱんっぱんに膨張させた。 「折江ェ~~~ッッッ」 「あ、そうだ」 「も、もっとチンポさわれッ、めちゃくちゃさわれッ、変態みてぇに俺のチンポさわりまくれッ」 「プレゼントがあるんだ、冨永」 「ッ……ッ……ッ……ッ……」 「え、今……もしかしていったのか……?」 「ッ……ッ……ッ……ッ……!!」

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