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新月の夜。 静まり返った屋敷の片隅にて行き交う獣じみた息遣い。 「あぁぁあぁっ……ぃやぁ……っもぉだめ……!!」 貪欲なはずの雄孔が飽食を覚えるまでに満たされてミサオは艶めかしい断末魔を上げた……。 *** 「ほんっとう、あの嫁、自分のテリトリーしか掃除しないんだから」 その日、嫁への鬱憤が溜まっていたミサオは気分転換に屋敷中の掃除に明け暮れていた。 昼下がりに居間や台所を粗方綺麗に片づけると、まだ鬱憤が収まらないミサオ、物置として使用している蔵にまで手をつけ始めた。 普段、滅多に立ち入ることのない内部は全体的に埃っぽく、着物に白の割烹着を纏ったミサオは棚に並ぶ骨董品を物珍しげに眺めていたのだが。 この家に嫁いでから一度も訪れたことのない蔵の二階に興味を引かれて。 急勾配の階段を慎重に四つん這いで上ってみれば書庫として使われていたのか、古びた書物が無造作に棚に置かれている。 斜め天井で薄暗く、どこか息苦しさを感じながらも、初めてやってきた場所に何故か心惹かれたミサオ、適当に本をとってパラパラと捲っていたのだが。 「あら」 上部から写真が食み出ているアルバムを見つけた。 分厚い冊子を両手で棚から抜き取って、ぱらり、ぱらり。 「……トオルさん?」 ひどく色褪せた写真に息子らしき人物が写り込んでいた。 詰襟に半ズボンを履いて、学生帽をかぶり、凛とした眼差し。 自分がここに嫁ぐ前に撮られたものだろうか。 成就の叶わぬ想い人の幼い姿にミサオは自然と顔を綻ばせて。 白昼にして薄暗い、肌に重くのしかかるような空気の中で下半身の奥底がズクリと疼くのを感じた……。 「あ……ん……はぁ……トオルさぁん……」 蔵の二階から悩ましげな囁きが聞こえてくる。 南京錠が外されて細く開いていた引き戸から内部に入り、急な階段を上って覗いてみれば。 書棚にもたれかかって煤けた床に座り込み、慎ましく清楚に着つけていたはずの着物を大胆に乱して股を開き、股間の暗がりに挿し込んだ片手を悩ましげに蠢かせているミサオの姿が。 「トオルさん……トオルさん……」 透明な淫汁ですっかり濡れてしまった肉芯をしごきながら、合わせ目に潜り込ませた片手で平たい胸を揉む。 足袋に包まれた爪先をもどかしげに反らして、くちゅくちゅ、ぐちゅぐちゅ、饐えた静寂に湿った音を立てる……。 「何をしてる、ミサオ」 はしたないひとり遊戯に耽っていたミサオは冷水を浴びせられたかの如く……快楽に蕩けていた表情を一瞬で強張らせた。 「今、誰の名を呼んだ」 青ざめた後妻が視線を向けた先には階段にまだ足をかけた状態でこちらを睨み据える……夫のタクマ(46)がいた。 タクマはミサオの不徳を全て把握していた。 把握した上で許していた、謂わば公認の不貞であったのだ。 だがしかし妄想とは言え相手が自分の息子となると。 「出て行け」 「あ、貴方……ごめんなさい、申し訳ありません、許して、」 「もう散々許してきた!!だがな!!これ以上の冒涜があるか!?」 体中の贅肉を波打たせて容赦なく怒声を上げるタクマにミサオは言葉を呑んだ。 「出て行け、ミサオ」 両親に説き伏せられて嫁いだ時から大食で傲慢で不遜だった夫。 自分の不貞を許し続けた男。 「申し訳ありません、今までお世話になりました……タクマさん」 ミサオが去って日の差さない暗がりに一人取り残された屋敷の主、タクマ。 安定した家賃収入があるゆえに労働せずとも金が入ってくる地主の彼は体のあらゆるところで育った脂肪を揺らし、ギシ、ギシ、板間を進むと。 床に落ちていたアルバム、そこから抜き取られていた写真を太い指で拾い上げて。 静かに息を呑んだ……。 あれから一年後。 ミサオはひなびた温泉街の老舗旅館で住み込みの従業員として働いていた。 屋敷を追い出されて、行く当てがなかったわけではない、現に三行半を聞き知って連絡を寄越してくる者もいた。 ミサオは全て丁重に断った。 自分が裏切り続けた元夫への贖罪として。 芽吹きの薫風そよぐ清々しい季節、そんなミサオの元を訪れたのは…………。 「トオルさん……?」 旅館前を竹ぼうきで掃いていたミサオは額に片手を翳し、鬱蒼と生い茂る並木道をやってくる彼を呆然と見つめていた。 ……いえ、違う、トオルさんであるはずがない。 ……あの人には憎たらしい、けどどこか憎みきれない、大胆不敵な嫁がいたじゃない。 じゃあ、今、緑の中を歩いてくるあの人は……? 「ミサオ」 その声を聞いたミサオは……手にしていた竹ぼうきを取り落した。 「戻ってきてくれないか」 「貴方……タクマさんなの……?」 贅肉の削げ落ちたシャープな輪郭を連ねる体躯に涼しげな紗合わせの着物を纏う、ミサオの元夫、タクマ。 元から暴飲暴食が度を超えた大食漢だったというわけではない。 前妻の死のショックを引き摺る余り欲求操作に混乱を来たし、それまでは至極まともな体型だったのだ。 「私を許してくれないか」 顔を覆ったミサオは首を左右に振る。 許すも何も一方的に不義の罪を犯し続けていたのは自分自身だ。 しとやかな黒髪を薫風に靡かせて涙を払い、ミサオは、タクマを見つめた。 「罪深い私を……許してくれますか、タクマさん?」 一年ぶりに屋敷へ戻ってきたミサオをその日の夜にタクマは抱いた。 「ッ、貴方ぁ……っっっ」 抉じ開けられた太腿に食い込む五指。 暇を食らっていた雄孔に潜り込む膨張男根。 かつてない妻の締めつけに我を忘れてのめり込む。 「ミサオ……ッ」 脂肪がすっかり燃焼されて見慣れないスマートな体つきの夫にただでさえ恥じらっていたというのに。 以前はバイブレーターを代用にして貪欲な雄孔を慰めていたはずが、最初から熱く滾るイチモツで念入りに突き上げられて。 「あ、ぁ、ぁん……っすごぃのぉ……これすごいっっ……貴方の、熱いの……こんなとこまで……っっ」 肌蹴た浴衣の間に覗く下腹をなぞってミサオは愛しげにタクマを見上げた。 「あっっ」 両足を持ち上げられた屈曲位、ペニスで雄孔を何度も何度も突き挿される。 股の狭間で傍目にもわかるほどに感極まるミサオの肉芯。 一年ぶりの濃厚交わりにあっという間に絶頂を来たす。 「あん!!!!」 艶やかに色づいた肉芯先端から解き放たれた白濁淫汁がミサオ自身の顔に飛び散った。 眼鏡レンズに、紅潮した頬に、震える唇に。 そんな妻のあられもない様にタクマもまた。 「あああ……っでるっっ!!」 「んーーーーーーッ……!」 雄孔奥でひしめき合う肉粘膜の窄まりに大量の子種汁が注ぎ込まれた。 それでも尚、愚直なまでに硬いままのペニス。 切れ目なく精液を迸らせながら睾丸で乳白色の太腿を打って執拗に律動してくる。 「あ、あ、なにこれぇっ、すごぃぃ……っ貴方の硬くて太いの……っ射精しながら私の奥、突いてくる……ぅ……」 はぁはぁ露骨に喘ぎながら射精ピストンに感じきっている淫らな妻にタクマは口づけた。 妻自身の白濁汁に塗れた頬も舐め、ずれ落ちた眼鏡まで綺麗にしてやり、以前よりもぐんと動かしやすくなった体を休むことなく酷使する。 不貞をはたらくときは必ず安全日を選んでいたミサオ。 「ああああっああああっ」 立ち上がり、柱にしがみついたミサオの腰を両手で固定し、延々と最奥を突いていたかと思えば再び激しく弾けたタクマの肉棒。 「あああ……っああーーーっ……あんっっ」 ぐるりと向きを変えられて背中から柱に押しつけられるなり、今度は向かい合わせで種付けに向けた高速抽挿が再開された。 片足を担がれて片足立ちとなったミサオは精悍な表情で小刻みに腰を突き動かすタクマを涙ながらに見つめる。 「貴方ぁ……わたしぃ……っ」 「ッ……ミサオ、孕んでくれ」 「ッ、ッ……はぃぃ……っあなた、ぁ……っ私の……貴方だけの雄●●●に……貴方の精ぇ子、たっぷり……ッああんっっ!」 「これがいいのか……ッ?ミサオッ?」 「あ、あん、あぅ、あぁぅぅ……っいいーーーっ……貴方ぁ、私、ずっといってるぅ……あっ!あっ!あっ!あっ!すごぃすごぃすごぃすごぃぃーーー……っっ!また種付けされちゃぅの……っ?熱々の精液そそがれちゃぅの……っ?」 タクマは淫らに叫ぶミサオの腰を抱き寄せて妻の肉奥に亀頭をゴリゴリと押しつけた。 ここ一年感じることのなかった狂おしい締めつけを吟味するように腰同士を隙間なく密着させる。 「ああ、だすぞ……ッここにッ、お前の一番奥に……ッ」 「……あなたぁ……だしてぇ……? 私の奥までタクマさんのものにして……?」 ぱんぱんに膨れ上がった睾丸から勃起男根の先端へ、精液がせり上がっていく感覚に下半身を武者震いさせて。 タクマは肉の窄まりに無心でペニスを擦り押しつけた。 「はぁッッ!!で、る……ッッ!!」 窮屈な尻奥でもどかしげに跳ねた肉棒から迸った精液。 しっかり受精させたいと言わんばかりにペニスで栓をし、奥へ届くよう限界までぐっさり挿し込む。 一滴でも多く出そうと執拗に腰を振って雄孔底でしごかせる。 「んんーーーーー………っっ!!!!」 柱に背中を預けたミサオは仰け反った。 夫の激痙攣するペニスを搾り上げるようにして自分も再度の絶頂へ。 まだ濃厚味を帯びた白濁淫汁をびゅるりと噴き上げ、浴衣や胸を卑猥に濡らした。 「はぁっっっ……ン……」 熟した果実さながらに潤い溢れる唇、乱れた前髪で隠れた片目。 濡れた睫毛のかぶさる片目は快楽に平伏す虜囚……ではなく、夫を恋い慕う妻の悦びに満ちていて。 「貴方ので……私の奥、もぉ……とろとろ……」 「ミサオ……」 まだ妻の片足を脇腹に抱いたままのタクマは蕩けた表情のミサオの耳元に唇を寄せた。 「すけべな妻だ」 「やんっ……だめ、え、締まっちゃう……」 「もっと締めてみろ、ミサオ……?」 「はぁん……はぁぃ……、っあん、っあん……っ!」 「そうだ……もっと……」 ミサオの尻を掴み直し、達したばかりの肉棒を妻の雄孔最奥で緩々としごいて回復させるタクマ。 もう片方の足も持ち上げ、柱と自身の体で今にも浴衣が脱げそうなミサオを挟み込み、ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ、腰だけを器用に律動させる。 「ああっ……あなたぁ……とろとろ、いいのぉ……っ」 「孕むまでだし続けるぞ、ミサオ……」 「あぁぁあぁっ……ぃやぁ……っもぉだめ……!!」 あまりにも止め処ない射精ピストンについ断末魔を上げたミサオ。 皺だらけの布団に這い蹲って弱音を吐露した妻にタクマは。 最奥まで蕩け落ちそうな雄孔に突き入れていた肉棒をずるぅぅっと引き抜いた。 「ッあ……?」 「わかった……無理はさせたくないからな」 震える肩越しに見てみれば引き抜いたばかりで精子に粘つくペニスを自らしごく夫の姿があった。 力が入らないミサオは胸底を焦げつかせる。 精子が零れ落ちていく雄孔をかろうじてキュッと締め、タクマに願う。 「あ……だめ、ごめんなさぃ、あなたぁ……むだづかい、嫌ぁ……わたしに……一滴残らず、ぜんぶ……ちょぉだい……?」 二人のこづくり夜活はまだまだ終わらない。 *** 「うぉっ!かわいー!」 舅とデート中の姑に変わって広い屋敷内の掃除を段取りよく済ませ、蔵の二階でアルバムを見つけると、はたきを投げ捨てて見入っていたパツキン嫁。 「誰が可愛いの?」 「こいつ! これ、トオルのちっさい頃だろ?」 「まさか。父さんだよ」 「え!?まじか!?」 「その写真、どう見ても昭和じゃないかな?」 「言われてみりゃあ確かに古くせぇな。おっさん、痩せてからトオルに似てるな~とは思ってたけど」 興味津々に写真を見つめるパツキン嫁にヤキモチをやいた婿。 「あんまり父さんばかり見ないでね、タツヤ君?」 そう言って無防備だった嫁の頬にすかさず、恥ずかしそうに……キスしたのだった。

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