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「俺のこと盗み見してたのか」 魅叉鬼はシマのお腹の上で身を竦ませた。 生まれて初めて抱いた途方もない好奇心に平伏し、人間界に足繁く通い、欲望のままに彼の私生活を覗いていたこれまでの日々を責められると思って。 「ごめ……悪ぃ……ごめんなさい……」 素直に謝った。 「でも、嫌うんじゃねーぞ、オレのこと……」 「……」 「シマに嫌われたら、拒まれたら……オレ……生きてけねーもん……」 自分をぽかすか叩いていた魅叉鬼の両手首を解放したシマは。 淫魔の白アッシュ頭を柔らかく撫でた。 「嫌わないから泣かなくていい」 ずれていた眼鏡をかけ直し、今にも泣き出しそうになっている魅叉鬼に苦笑した。 「私生活を覗き見されてたことは甚だ遺憾だけど。プライバシー侵害を訴えるほど大層な人生送ってきたわけでもないし」 「……なんで、あんな、乱れた性生活送ってきたんだよ」 「それは俺の性格と下半身上の問題」 「すけべ!! どえろ!! じゃあオレとも交尾しろよ!! 交尾交尾交尾交尾!!」 魅叉鬼が盛んに喚き出し、ラグ一つない剥き出しの床に寝転がったままシマは肩を竦めてみせた。 「だって、お前、こんなに細い」 我が身に馬乗りになっている魅叉鬼の太腿に不意に両手を添えた。 「どう見ても中学生体型だし」 スキニー越しにやんわり掴んで太さを確認してみる。 「こんなに華奢な体と今までシたことないから」 自ら大胆開脚した淫魔の内腿を親指の爪でカリ……となぞった。 「壊しそうで怖い」 「ッ……」 「そもそも男ともシたことがない」 シマからソフトな愛撫を捧げられただけで。 魅叉鬼は褐色の肌身を隅々まで堪らなくジンジンさせた。 「あ、こら……」 外でシマに限界上まで締められたパーカーのジッパーを再び全開にし、上の着衣をガバリと脱いだ。 「オレの体……そんなに脆そーかよ……?」 二の腕まで覆うロングの革グローブをした魅叉鬼は、華奢な骨組みをした、瑞々しさに富む褐色肌を上半分露出させた。 小さなコウモリ羽が背中に翻る。 頼りない肩も、薄い胸も、腰の括れも、発達途上で未完成で。 目の毒さながらに危うげな色気があった。 「一応、これでも淫魔なんだぞ……?」 ローライズのスキニー上に覗く自身の腹をぎこちなく撫でた魅叉鬼に、シマは、ついつい見惚れそうになった。 「……お前、そもそもどっち? 俺は自分が攻める前提で今まで話してたんだけど」 シマの問いかけに白アッシュの髪をサラリと滴らせて小首を傾げた淫魔。 「……どっちも使えるから、どっちでもいーけど」 「……どっちも使える?」 光沢を放つレザーに包まれた指が腹より下へ。 ホックを越え、ファスナーを辿り、股座へと行き着いた。 「……淫魔のオレには、男と女、どっちのモノもついてんだよ、シマ……」 ーーなぁ、オレと交尾したくなった? ーーオレの純潔、ほしくなった……? ■■■ 「あ……? シマぁ……?」 「ただいま、魅叉鬼」 毛布を掻き抱いて寝ていた魅叉鬼は目を覚ます。 目を覚ますなり、一日フルに行われた講義とバイトを終えてやっと帰ってきたシマを睨んだ。 「遅ぇ」 「朝言っただろ、今日は遅くなるってーー……」 遮光カーテンは開かれたまま。 外明かりがレースカーテンに滲む薄暗いワンルーム。 「他の女ンところに行ってたんじゃねーのかよ……?」 ベッドの傍らに両膝を突いて自分を覗き込むシマを睨んだまま、魅叉鬼は、吊り目に涙を溜め込んだ。 「オレとの交尾がつまんなかったから、口直しに、別の女に会いにいったんじゃねーの……?」 ……どうしよう。 ……この淫魔、可愛過ぎる。

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