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39-8
独立した浴室で惜し気もなく無駄遣いされるシャワー。
「最終課題をパスして、その後は?」
浴槽にお湯を溜めはしたが、放置されて徐々に温くなっていく湯船。
「家畜にならずに済んだし」
壁とシマの体に挟み込まれて。
軽々と抱っこされて。
すでにとろとろになりかけている蜜孔奥を連続して小突かれ中の魅叉鬼は、忙しげに睫毛を震わせた。
「檻にも入れられない」
全裸になった二人。
蒸れて温む蜜壺の抱擁を貪欲に堪能しつつ、シマは、羽を仕舞って従順に揺さぶられている魅叉鬼を覗き込んだ。
「で。こんな風に他の男とも交尾するの?」
シマは眼鏡を外していた。
湯気で湿った黒髪が目元に伝い、普段と違う雰囲気を体感し、魅叉鬼の胸は大いに高鳴りっぱなしだった。
「誰彼構わず股とか開くの?」
「っ……っ……わ……わかんねぇ……最終課題クリアが目標で、それから後のこと、あんま考えてなかった……」
「……」
「や、んっっ……ゃっ……シマの、ずっとおっきぃ……オレの奥……ずっとグリグリされてる……」
水気を含んで瑞々しさが増した褐色淫魔を抱き直し、真下から串刺しにするようなロングストロークでシマは腰を突き動かした。
太棹が入り口を行き来する度に次から次に零れ落ちる白濁。
愛液とふんだんに混ざり合って粘つく音色が絶えない。
「俺だけの淫魔になって」
唇と唇が触れ合いそうな距離まで顔を近づけてシマは強請った。
「俺とだけ交尾する、俺専属の、俺だけを求める淫魔になって」
傲慢直球のワガママを投げつけられて。
魅叉鬼は、我慢できずに、自分からシマに実に初々しいキスを捧げた。
「っ……っ……なる……シマ専属の淫魔になる……」
「本当に?」
空中で固定した細身の体をリズミカルに突き揺さぶる。
初心な唇に応え、深々と口づけて、口内に溜まっていた微熱をさもヤラシク丁寧に引っ掻き回す。
「俺のものになる?」
舌先を濃密に交えながら問いかけてきたシマに魅叉鬼は吊り目をとろんさせてうんうん頷いた。
「なるっ……オレぇ……オレのぜんぶ……シマにあげる……」
「本当? ウソついてない……? お前の全部、俺にくれるの……?」
「あげるっ……だからシマも……オレの……オレのモン……」
裸の肩にかぷっと噛みついた。
自らも両足を絡ませ、盛んに腰を揺すり、深夜の交わりをもっと淫らで中毒的なものに仕立て上げた。
「うん、いいよ……魅叉鬼にあげる……俺の全部……」
我慢できずにシマは一思いに加速した。
湯気立つ浴室にパンパンと露骨に音を響かせ、込み上げてくる射精欲に従い、激短ストロークでケダモノさながらに腰を振り立てた。
「あっ、あんっ、いいっ、いくっ、いくっ……シマぁ……っ……っ……っ……」
「うん……俺も……」
初恋を掻っ攫っていった男に所有の痕をつけるみたいに。
一途な淫魔はシマの首筋にガブリと噛みついた……。
翌朝も魅叉鬼との過激な交歓に耽る気満々でいたシマだったが。
「急な欠員が出たからバイトに行ってくる」
「はぁ!!??」
急遽、昼シフトに出ることになったシマに魅叉鬼はクロミミをぶわりと膨らませて殺気立った。
「オレとの交尾は!? 交尾!!!!」
「帰ってきてからな」
「また!? またあんな遅くなんのかよ!?」
「いや、今日は夕方には帰るから」
「夕方!! 今まだ午前中なのに!! 夕方!! あっそ!!!!」
殺気立ちながらも全力で拗ねている、昨夜まで着用していたものとは別のトレーナーに身を包んでいる魅叉鬼にシマは笑う。
「今、洗濯回してるから、終わったらバルコニーに干しといて」
「おいッ、オレぁお前の召使いじゃねぇんだぞッ、扱き使うんじゃねー!!」
「あ、バルコニーに出るときは下履くように。タオルか何か引っ掛けて頭も隠すように」
「淫魔の話聞いてんのか、おい!!」
玄関まで喚きながらついてきた魅叉鬼のクロミミを戯れにつねって「俺の専属淫魔ちゃん、いってきます」と声をかけ、アパートを出て行った。
睨み足りない魅叉鬼は目の前で閉ざされたドアをしばらく睨んでいたが。
着古されたシマのトレーナーをきゅっと握って、もうアパートから大分離れた彼を「いってらっしゃい……」と淋しそうに一足遅れて送り出した……。
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