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「あ……っ……比良くん……」
もったいぶったペースでアソコを突いていたペニスがずるりと引き抜かれた。
活きのよすぎる男前男子の熱源が次に狙いをつけたのは、まぁ、当然のことながら……。
お尻の穴だった。
ヒクヒクしていた後孔に頂きが押しつけられて。
愛液の滑りを潤滑剤にし、ぐ、ぐ、ぐ、ぐ、ぐ、強力な肉圧に逆らってお尻のナカを突き進んできた。
「うーーーー……っっっ」
久し振りの後孔拡張に柚木は呻吟する。
息苦しそうに眉根を寄せ、純白エプロンに発情の染みを広げ、さらにギチギチと比良を締めつけた。
「おっ、おっ、お尻っ……くるしっ……きつぃ~~……っっ」
正直に弱音を吐く柚木の苦痛がちょっとでも和らぐように。
上体を倒した比良は緩々と腰を動かしつつ、首筋、うなじ、背筋にキスの雨を降らせた。
大好物をたらふく吟味するように耳たぶも食んで。
感度抜群なクリトリスに指腹を押し当て、細やかに振動させ、理性が麻痺する刺激を送り込んだ。
「まだ苦しい? きつい? なぁ、柚木……?」
極めつけは雄めくお色気ボイス。
端整な唇を限りなく耳孔へ寄せ、鼓膜目掛けて熱心に注ぎ込んだ。
「でも、柚木のココ、すごく熱い……絡みついてくるみたいだ……気を抜いたら今にも上り詰めそう……ほら、お尻の奥でビクビクしてるの、わかるか……?」
……こんなん新手の拷問だ。
……スケべ地獄だ。
惜しみない比良のご奉仕に柚木の下半身はだくだく状態に。
最初は浅いピストンで慣らされ、徐々に深くなり、お尻奥を小突かれるようになると健やかな体の真下で頻りに身をくねらせた。
「ちょっ、待っ……いっ、やっ、だっ……一度にいろいろいぢりすぎ……っっ」
ひらめくエプロン下、先走りを漏らし続ける童貞ペニスの先っちょまで掌に包み込まれ、しごかれた。
クリトリスを丁寧に解していた指に、さっきまで熱源に激しく愛されていたアソコの粘膜が掻き分けられ、とろとろなナカを緩やかに掻き回された。
欲望丸出しの三点攻めに柚木はガクガクが止まらない。
弓の扱いに長けた、絶妙な力加減でペニスとアソコを愛撫する長い指。
落ち着くどころか、窮屈なお尻の奥でどんどん力に漲っていく、スタミナ満点な熱源。
「柚木、どう……? よくなった……?」
相変わらず耳元ギリギリで比良に囁かれて柚木は口をへの字に曲げた。
「ひ……比良くんと、いっしょ……」
「そんな答え方、ずるいな……ちゃんとはっきり教えて……」
親指で先端の鈴口をグリグリ、中指の先でアソコの敏感なところをグリグリ、男前ペニスで後孔奥をグリグリ、恐るべしグリグリ同時攻めに柚木の悶絶ムズムズ感は倍増した。
「う、わ、ぁ、ぁ、ぁ、ん……っ、っ……お……お尻……お尻きもひぃぃ……っ」
「俺と一緒にいきたい……?」
「ぇぇぇっ……ぅぅぅっ……い……っい……っ」
「いきたい?」
「ひッ、グリグリだめッ、いッ……いきたぃ……ッ……比良くんと、いっしょ、いきたぃ……ッ」
言わせた感は否めなかったが。
比良はとりあえず満足した。
そしてすぐ次に飢えた。
「柚木、もう一回……」
「こっ……こらぁっ……いくら比良くんでも、もう、これ以上はっ……」
二階の寝室へ有無を言わさず持ち運ばれてクイーンベッドに寝かされた裸エプロン柚木。
すぐ真上に迫った比良をさすがに拒もうとしたのだが。
「……まだ足りない……」
ほしくてほしくて堪らない。
そんな溺愛欲が剥き出しの眼差しで見つめられてぐっと詰まった。
普段は秘められている危うげな獣性をひけらかされて、比良くんに食べられる……なんて、本気で怖気づいたりした。
「次はどっちでされたい……?」
比良の欠片で温む二つの穴を欲深い指先になぞられると、飽きもせず、胎底が疼いたりなんかもした……。
「俺がもう一人いたら」
「ほぇ……?」
「どっちの柚木も一度に愛せるのに」
……なにそれ、どーいうこと?
……それって、前と後ろ、同時本番って……こと?
「いッ……いやだいやだ、しぬしぬ、しんじゃう」
「俺は一人だから不可能だろ」
「ドッペルゲンガー、いるかもしれないじゃん……」
中二的な柚木の意見に、ほんのちょっと真剣に考え込んでから、比良は答えを導き出す。
「やっぱり俺は一人でいい。同じ俺とでも、柚木のこと、はんぶんこしたくない」
「は……はんぶんこ……あ、ちょっと……比良く……」
「どっちの柚木も俺の……俺だけの……」
「ぁ、っ……もぉ……っ……っ……ぅ、ぅ、ぅ……」
自分にぴったり覆いかぶさってきた比良の肩の向こう、いつの間に日は傾いて、窓一面が西日に染め上げられていた。
「二泊じゃ足りない、もっと柚木と一緒にいたい、帰りたくない……」
……どうしよ。
……今さらだけど。
……ほんとに比良くんと新婚旅行にきてる気分になってきた……。
ぎこちなく比良を抱き返し、夕焼けを反射して太陽の破片みたいに煌めく指輪を見、柚木は小さなため息をついた……。
「いつかちゃんとした新婚旅行に行こう」
帰りのバスで後部座席に座った比良は隣で寝ている柚木に言う。
「船に乗って離島に行くのもいいな。海外でもいいかも。柚木はパスポート持ってるのかな」
柚木はパスポートを持っていない、そもそも県外にすらろくに行かない、親戚の法事でたまに遠出するくらいだった。
ゴールデンウィークの中日、車内の座席は程々に埋まっている。
今日も天候に恵まれて行楽日和だった。
海岸線を行くバスの車窓を楽しむでもなく、比良は自分にもたれる柚木にばかり視線を注いでいた。
「ゴールデンウィークが終われば、また、柚木と離れ離れだ……」
クラスが別々になった現実を未だに受け止めきれずにいる比良。
でも。
そう、ひとつだけ。
教室が分かれて「いいこと」があった。
「柚木と離れたのは淋しかったけど。俺がちゃんと教室に戻るよう、柚木が一生懸命背中を押してくれるの、好きなんだ」
近くの乗客にも聞こえない、走行音で掻き消されそうだった儚い囁きの後で。
ピクピク震えた柚木の瞼。
みるみる紅潮していった両頬。
肩にかかる重みで狸寝入りだろうと踏んでいた比良は微笑んだ。
来年には。
新婚生活ごっこもしてみようか、なぁ、柚木?
end
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