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第2話 心の準備
だけど、心の準備が整っていないというのに家を追い出されてしまった僕は、そのまま歩くしか術は無かった。
何故なら家を出てすぐ。
保育所は目と鼻の先にあるのだ。
僕の行く実習先は、小さい頃に通った出身園。
懐かしい気持ちもあるけれど今日からは実習だから、呑気にはしていられなかった。
緊張の面持ちで僕はサクサクと足を進めた。
そして、あっという間に保育所の門へと辿り着いてしまった。
近くて喜ぶべきなのか…。
僕の家から保育所までの所要時間、約一分。
「…ううっ。行くか…」
観念した僕は、ガガーッと重たい通用門を開けたのだった。
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