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第18話 噂のイケメン登場

背後から聴こえた低くて艶のある声。 こんな心地のいい声は聞いたこともない。 耳の奥に染み入る様な…。 誰? そう思って僕が振り返るよりも先に、絢香ちゃんが顔を輝かせて走り出した。 「彌先生…ッ‼」 僕が顔を巡らせると、絢香ちゃんが相手の足元に飛び付いていたところだった。 相手は絢香ちゃんの顔を見下ろしながら、イイコイイコと頭を撫でている。 この人が噂の彌先生…⁉ 顔は見えないけれど、背の高さは分かる。 透先生と同じくらい背の高さはあると思う。 僕なんか並んだら大人と子どもになってしまうかも? 「彌先生~‼」 「先生、おはよう‼」 「彌先生、おはよう~‼」 他の部屋に居た子ども達も心底嬉しそうに、集まっていく。 その大騒ぎの凄さといったら、驚く他ない。 様子から、その先生の人気の高さが伺えた。 先生達だけじゃなくて、子ども達からもこんなにも人気があるんだ…凄い。 なんだか急に緊張してきた。 話に聞いていた凄い人に会うからだろうか? 挨拶しなくちゃ、挨拶しなくちゃ、挨拶。 「裕太くん」 そう呼んで顔を上げた彌先生に、僕は息を呑んだ。 「…ぅ、そ」 思わず声が零れた。 世の中には特別な人が居る。 そんな一握りの「特別な人」が今、目の前に居た。 その時僕は、心臓が締め付けられるのを何処か遠くの意識で感じていた。

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