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第20話
少し痩せ気味の野村の背中はごつごつと骨ばっていて、今まで相手にしていた筋肉質なタイプとは大分異なる。
砂羽とは似ても似つかない相手で、俺の好みとは少しも重ならない。
高校時代に小遣い欲しさに股を開いた以外は、自分の好み以外を相手にすることは初めてだった。
そんな相手と自分からすることを新鮮に感じながら、薄く開いた隙間に舌をねじ込む。
逃げる舌先を絡めるように吸い上げると、逆に口蓋をなぞられ先ほどよりも強く抱きしめられた。
くっきりと浮き出た肩甲骨を撫でながら「なんで、こんなことしてんだ?」と冷静な自分が囁く。
それでも、そんな自分を打ち消すように首に腕をまわして抱き付くようにキスだけに専念する。
考えることが面倒くさくて、縋る様に野村の背中にしがみつく。
息が続かなくて一度唇を離すと、追いかけるように舌が追ってくる。
「野、むっ…ら…。ちょっと、苦し!」
「あ、ごめん。」
そう言って謝罪しながらも、ぎらついた目で見つめる視線に肌が粟立つ。
野村の視線を浴びながら肩で呼吸をしていると、背中から圧し掛かる様に押し倒された。
「今度は待ったなしね?」
野村はそう言って笑うと、首筋にかすかな痛みを感じる。
「痕はつけるな」と言おうと口を開くと、野村の唇で塞がれた。
腰のラインを確かめるように脇腹をなでられ、首筋に鳥肌がたつ。
「くすぐった……いって!」
そんな俺の反応を楽しむ様に、何度も脇腹をなぞりながら、胸元にも赤い印を刻まれる。
舌の感触がくすっぐたいような、感じるような……そんな微妙な愛撫を受け入れながら、野村の髪をそっと撫でた。
見た目よりも硬めの髪が指に刺さり、砂羽の柔らかなふわふわとした髪の毛を思い出す。
野村を見つめながらも、砂羽の柔らかな笑顔がちらついて、野村とのセックスに身が入らない。
――あー……なんか、冷めてきたかも。
そんな俺の心情など知る由もない野村に、乳首を指腹で潰すように撫でられた。
平らな胸を両手で揉むように潰され、慣れた身体は心とは裏腹にすぐに反応を示す。
ぷっくりと尖る乳首を指の狭間で挟まれ、我慢できずに上擦った声が漏れる。
AV女優が喘ぐ声に混ざって、俺の濡れた声が狭い部屋に響いている。
「あぁっ……んあ!」
びくんびくんと生きのいい魚のように全身を震わせながら、引き攣った呼吸を漏らした。
いつもの調子で男の腹に自分の主張するモノを押し付けると、野村が驚いた表情で俺を見下ろしている。
「な、なに?」
「乳首、そんな気持ちいいの?」
「え?」
「もう、カチカチじゃん。」
野村は笑いながら、タオルの上から俺のモノをやわやわと握る。
堪らずに仰け反ると、野村が楽しそうに乳首を舌の上で転がした。
ぞわりとした感覚に野村を見上げると、腰に巻かれたタオルの隙間から野村のモノが垣間見えた。
「野村だって勃ってんじゃん。」
そう言いながら野村の腰に巻かれたタオルを取り去ると、俺と同じようにしっかりと反応していた。
滴る体液を擦り付けるように刺激をくわえると、手の中のモノが一回り大きくなる。
「日向ちゃんのえっち。」
恥ずかしがる様子もなく、野村も俺のタオルをゆっくりと解き……
俺のモノを見つめながら、ゆっくりと扱き始めた。
野村の手つきに合わせて俺も野村のモノに手を伸ばすと、野村が苦しげな表情をしながら俺の肩に顔を埋める。
「体勢きつい?」
「いや、それは平気なんだけど……。」
そう言いながらも苦しげな表情のまま俺のモノからは手を離し、今度は背中をそっと触れてきた。
ぎゅっと強く抱きしめられ、少し高めの体温が心地が良くて目を閉じると……
その手が背骨に沿って徐々に下降するのを感じて、ゆっくりと目を開ける。
「尻はやっぱダメ?」
ノンケだとこんなこといちいち聞かれるのか……
と妙なところで感心しながら、野村を見上げる。
「優しくするから」と切羽詰まった声でねだりながら、優しいキスで機嫌をとられる。
俺の言葉をじっと待つ真顔の野村が面白くてふっと笑うと、ふて腐れたような声でせがまれた。
「なんだよ。日向ちゃんの顔見てたら、挿れたくなったんだって!」
そう言いながら頬をつままれ、不機嫌そうな瞳と視線がぶつかる。
そのふくれっ面を両手で包み込み、ちゅっと軽いキスをおとす。
「好きにしていいよ。」
「え?」
「別に、聞かなくていいから。気持ちよくして。」
むしろ、最後までしてもらわないと……
俺のほうが困る。
「……後でやだって言っても、聞いてやれないよ?」
「あ、でも……痛くしたら蹴り飛ばすけど。」
そう言って笑うと、野村が音をたててキスをした。
「了解。」
耳もとで小さくそう囁くと、ベッド下に用意していたローションを手に取る。
予想よりも粘度が少なかったせいか、指の隙間からシーツにこぼれていくのを見つめながら……一抹の不安がよぎる。
「……野村って、男としたことあんの?」
「あー、実は挿れたことはないんだけど……。」
「え?」
その言葉に驚いて野村を見上げると、苦笑しながら言葉を繋げる。
「いや、だって触ったりはオッケーくれても、さすがに尻は……って言う子が多いから。」
「……そうなんだ。」
「だから、日向ちゃんでラッキーだったなぁ……。尻、こっち向けて?」
野村に促されるまま四つん這いの姿勢で尻を向けると、ローションのついた指でぐにぐにと尻を揉まれた。
「綺麗なお尻。思ったよりも孔ちいせえな……。」
そう文句を言いながらも、双丘の狭間を何度も指が行き来し、冷たいローションを直接肌にかけられて背中がすくむ。
「あっ!」
「冷たい?」
「だ……い、丈夫。」
冷房で冷やされた身体には少し堪えたが、ぐっと我慢して顔を枕に埋める。
ローションの滑りで簡単に指1本をするりと飲み込み、息を吐きながら奥まで受け入れる。
差し込み、引き抜いて……を何度も繰り返していると、動きも大分スムーズに、俺の息も徐々に上がってくる。
シーツを掴みながら、まどろっこしい愛撫に頭の中で愚痴を言っていると……野村が急に質問をなげてきた。
「日向ちゃんは?」
「え?」
「男としたことあんの?」
その言葉に無意識にきゅっと力が入ったせいで、野村の指をぐっと銜えこんでしまった。
その衝撃でいいとこに指が擦れ、声が上擦る。
「え……っ、あう!」
「痛かった?」
「平気……っ。」
そう言うと、指が一度引き抜かれ、先ほどよりも指が増やされたのが分かった。
ぐりぐりとナカをかきまぜられ、圧迫感を堪えようとシーツに爪をたてる。
「でも、なんか辛そう。」
ぬるま湯にずーっと浸っているような、そんな生ぬるい愛撫はやっぱり辛い。
でも、ノンケ相手にいろいろと注文するのもどうかと思い口をつぐむと、指がぐりっと奥にねじ込まれた。
「んん……あっ!」
「……でも、ねえか。」
そう言いながら少し笑うと、俺が嬌声をあげたところをしつこく攻めてくる。
だんだんと頭がぼーっとしてきて、顔が熱い。
荒い息を繰り返しながら、シーツに擦れる性器の快感に我慢できずに腰を揺らす。
先ほどこぼしたローションのせいでぬるついたシーツが気もちよくて、汚れるのもお構いなしに快感だけを追う。
「日向ちゃん、初めてじゃないっしょ?」
そんな笑いを含んだ声が聞こえた気がしたが、長すぎる愛撫に頭は大分煮えていた。
だんだんと思考が朦朧としてきて、野村の言葉が理解できない。
だらだらと溢れる先端を夢中で擦り付けていると、濡れて引きつきはじめた後孔に指が引っかかり、堪らずに腰をくねるように揺らす。
「んあ、そこ!」
「ここ?」
「あぁ……んっ!」
こくこくと何度も頷いてもっとと強請ると、野村は惜しむことなく与えてくれる。
「相手は片岡?」
「違っ……あ!んんっ……ああーーっ!」
「気持ちいい?」
「ん、そこ好きっ!好きっ!」
枕を両手で抱えながら悲鳴のように何度も叫ぶと、野村が背中から覆いかぶさるように襟足にキスをする。
「日向ちゃん、こっち向いて?」
「な……に?」
ぐったりしながら野村の方を振り返ると、すぐに下唇を軽く吸われる。
ナカを掻き混ぜながらきつく舌を吸われて、ぎゅうぎゅうに指を銜えこみながら腰を腹に何度も擦り付ける。
「喰いちぎられそうだな……。」
そうぼやきながらも、突き出した舌を食むように奪われ、じんじんと内腿が痺れる。
きつく舌を吸われていると、視界がゆらゆらと歪んでいく。
「もう、ずるずるじゃん。指、3本入ってるの分かる?」
ばらばらに指を動かされ、掠めるように前立腺を刺激されて涙が溢れた。
イきそうでイけないもどかしさに野村の肩に額を擦り付けてねだると、野村が息を飲むのが分かった。
早く欲しいと野村の性器に自分のを擦り付けると、どちらのものかも分からない愛液で下生えの茂みが湿る。
「挿れていい?」
「ん、いいっ!早……く、ちょうだ。」
俺が言い終える前に、野村は腰をぐっとすすめてきた。
指とは比べ物にならない質量が一気にナカに入ってきて、息を吐こうと口を開くとキスで塞がれる。
息苦しさと腹の中で暴れる熱に腰を引くと、今度は腰を掴まれて奥まで貫かれた。
野村が初めてだと言うのは本当のようで、興奮しすぎている顔に恐怖すら感じる。
野村が上で動くということは、俺から加減させることが難しく、奥に入りすぎているせいで息苦しくて堪らない。
半泣きになりながら野村の背中に腕を伸ばして、必死で訴える。
「あ、野……村っ。ナカ、く……苦し!」
そう掠れた声で主張すると、何度も奥まで突っ込んでいた野村が俺の顔を見て少しだけ冷静を取り戻した。
「ごめ。痛かった?」
頬に流れた涙を労わるように舐められて、一旦引き抜かれる。
汗と涙で濡れた髪をかきあげられ、こめかみに優しくキスをされた。
「奥はきついから……。」
平静を取り戻した様子の野村に安堵して、背中に抱き付きながらそう訴えると、はにかんだ顔で微笑まれた。
「ごめん、つい。ナカ、すげえ気持ちよくて……。」
「ゆっくりなら、だ、い……丈夫。今度は俺がしたげる。」
そう言って微笑んでから、びんびんに張りつめたモノにキスをすると……
野村が驚いた表情で俺を見つめている。
あまり慣れてることがバレるのはまずいかも……
と口でするのはやめて、野村をベッドに仰向けに寝かせた。
「俺の触って?」
野村の手を掴んで自分の性器を握らせながら、ゆっくりと腰を落とす。
いいところに当たるように腕で体重を加減しながら腰をすすめると、野村が気持ちよさそうに目を細める。
その顔を見下ろしながら、痺れるような快感で頭を空っぽにさせ、何度も何度も快感を味わう。
「すっげ、エロい。」
野村は肘をつかって少しだけ上半身を起こすと、茂みの影から自分のモノがナカに出入りする様子を見つめながらそう呟く。
前立腺に野村の先端が当たり、腰の動きをさらに速めると……
ナカがずんと重くなる感覚に、俺も野村の手の中で欲望を吐き出した。
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