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 松井智紘(チヒロ)先生、僕らの担任で教科は国語。  身長は180cmくらいかな。少し茶色っぽい髪の毛が綺麗。  僕たちを見る目は優しくて、手も綺麗で、すごく格好良い。  声も低すぎなくて、僕にとっては甘く響いてくる心地よい声色。 「お前らー、テスト期間に入るから部活も中止。しっかり勉強しろよー。」  朝のホームルームは幸せな時間。  先生の言葉がいっぱい聞けるから。 「まっつん、俺テスト諦めてんだけどー。」 「よーし、今回の補講は数倍厳しく設定してやろう。」  先生の優しい言葉は、みんなを笑顔にする。  僕も思わず笑ってしまう。 「それと今日は現国の課題提出日だから、この後すぐに出せよー。」 「えー。」 「月宮、頼むな。」 「へ、あ、はい。」  突然呼ばれて変なふうに返事をしてしまった。  だけど先生はニコリと笑って頷いてくれた。 「月宮、重いだろ?手伝ってやるよ。」  ホームルームが終わってみんなが課題の問題集を僕の机に置いた。  これを職員室まで持って行こうとしたら、隣の席の宮北(みやきた)くんが声をかけてくれる。 「え、でも悪いよ。これくらい一人で大丈夫だよ。」 「いいから。半分。」 「あ。」  宮北くんは気遣い上手だしスラッとしたモデル体型。  少し目が隠れる前髪だけど何故か暗い印象は受けない。  背の低い僕は宮北くんを見上げて、されるがままだった。 「半分でも重いじゃねーか。」 「うん、でも他の人たちもやってるし。」 「月宮ってトロそうだし。」 「あ、ひどいなー。」 「ははは、悪ぃ。」  こうして揶揄(からか)われるけど、その笑顔は無邪気で優しい。  僕は本当に恵まれている。幸せなんだ。  なのに、なんで?こんなに満たされないんだろう。

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