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 僕は体育館の裏に隠れて嗚咽を殺して泣いた。  当たり前のことだった。  先生にとって僕は男で多くの生徒の1人に過ぎない。  この想いは不毛なものだってわかってたはずなのに、どうしてこんなに悲しんでしまうんだろう。  今朝、撫でられた感触と温もり、掛けてくれた声の心地よさ。  あれはみんなに向けていて、僕だけのものじゃないのに。  押し殺していないと、ダメなのに。 「先生……大好き…です……。」  溢れてしまう想い。  誰もいないんだから只の独り言。虚しいだけ。  こんな僕の滑稽な苦しみ誰にも理解されなくていい。  早くこんな気持ちは消えてしまえばいいのに。 「月宮?」  嗚呼、想いすぎて幻聴が聞こえちゃっている。  こんな人気の無い場所に先生がいるはず、ない。 「おーい、月宮、シカトか?先生悲しいぞー。」 「ふぇ?」 「あ、こっち向いた。どうしたどうしたー?」 「せんせ……い……。」  何で、先生が此処にいるんだろう。

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