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第4話
人の興味は移り変わる。
マスコミの関心は色々変わっていって、だんだん、病院に押しかけてくることもなくなった。
真新しいニュースが見付かればそっちに目を向けて、人気俳優のスキャンダルなんてあろうものなら目の色を変える勢いで食らいつく。
そんな風に人の関心は移り変わって、今ではすっかり、華宮 真湖 の自殺未遂は、人々の中で過去のことになっていた。
強いて言えば、ニュースで華宮の名前は数日、それなりに話題になった。
でもそれはもう、真湖のことじゃない。世間にとっても、華宮にとっても真湖の自殺は過去のことになっていた。
キャスター達は忘れたように。
華宮の人間は、真湖なんて最初からいなかったように。
真湖の妹の功績が華々しく報じられて、次の頭首になるんだと締めくくられた。
妹も、母親も、インテリ気取ったキャスターも、あまり頭が良さそうには見えない。
あれだけ真湖のことで騒ぎ立てて。真湖を追い詰めて。そんな私怨もあったと思う。
でも、自分の中で渦巻く怒りや呆れなんて、もはやどうでもいい。
世間も、華宮も、真湖から興味をなくしたのなら。
「ねぇ、真湖。起きて? もう真湖は、静かに、穏やかに、生きられるっすよ」
きっと真湖を、華宮の人間として、あるいは華宮の不用品として、追い掛けて追い詰める人間はいなくなったんだろうから。
いくら栄養は点滴で摂っているといっても、どうしたって細くなってしまった真湖の手をそっと取って、オレは願うように呟いた。
なんにもできないオレだけど。それでも、これから先は一緒に生きていこう、って。
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