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203号室3

「うぅッ……ん!……ん!……ッ!」 吾妻は首を反らせて口付けから逃げようとするが、槇の唇は逃さないとばかりに追いかけ吸い付いてきた。 ぬるり……と、吾妻の口内に槇の舌が侵入してきた。 「んぅうッ!?」 吾妻の体がビクッと大きく跳ねる。 再び暴れ出す体を強く押さえ込み、顎を掴んで口を開かせ、より深く濃厚なキスをした。 「……ううッ!……ゃ、むぇ……う、ん、んんんッ!」 暴れ疲れた体から少しずつ力が失われていく。角度を変えて唇を合わされ、呼吸を奪うような接吻に、吾妻は頭がクラクラしてしまう。 「ん、ん……う、うぅうッ……」 だが決して望んではいないのだと意思表示するように、吾妻の手が力無く槇の体を叩いた。そんな可愛い抵抗に槇は笑みを浮かべて唇を離した。 「はぁッ……は、やめてくださ……あ!」 槇は吾妻の首筋に顔を埋めて、ねっとりと舐め上げた。耳に甘く噛み付きながら、やんわりと吾妻の股間を揉んだ。 「いっ!? 嫌だッ!! 嫌です! やめてッ!!」 「嫌って言っても勃ってきてるじゃないか。俺とのキスは気持ちよかったか?」 「ちがっ、違います! 嫌です!! もうやめてくださッ……アッ!」 片手で吾妻の頭を押さえて、耳に直接吹き込むように囁きながら、もう一方の手でねっとりと股間を愛撫する。 陸に上げられた魚のように、吾妻の細い体がピクンピクンと跳ねた。 「いやだ、いやだッ! やめっ……!?」 槇の手がカチャリとベルトを外してジッパーを下ろし、吾妻のペニスに直接触れた。 「い! 嫌だぁッ!! 触らないでッ!!」 「おい。もう濡れてるぞ。いやらしい子だな」 吾妻のペニスの先端は先走りの汁で濡れており、にちゃりと小さな卑猥な音を立てた。 男の体は単純だ。多少強引でも、快楽を与えられれば受け入れてしまう。 槇は手っ取り早く吾妻のペニスを扱いて、その気にさせようとした。 他人に直接ペニスを触られる事など初めてで、吾妻は怯えて硬直してしまう。 ───怖い! 誰か助けて……ッ! 「あ!……や、めて……お願いします! 槇社長ッ、やめてく……ぁあ!」 槇の手は的確に吾妻を追い詰めていく。耐え切れずに背を反らす吾妻の喉を舐め回し、華奢な喉仏を甘噛みした。 そのまま舌を這わせ、まだ性感帯にはなっていないであろう小さな乳首に吸い付いた。 「何を!? 嫌だッ! 気持ち悪い……ひぃあ!」 乳首に吸い付く槇を引き剥がそうと、吾妻は震える手で槇の頭を押した。すると咎めるようにキツく乳首を噛まれた。 「社長、舐めてくださいって、ねだるように開発してやる」 「なにを言って……やめて、やめてください! お願いです……許してく……あ!」 必死に哀願して、逃げようともがいて……だが、吾妻の抵抗など子供のようなもので、槇は徐々に吾妻のスーツを脱がせていく。 「いや、嫌ぁ……お願いっ! お願いします! やだ、やめてぇ……あぁあ……」 下着ごとスラックスを脱がされ、床に放り投げられた。 「はぁッ……やめてッ! やめてください!……は、ぁあ、嫌です!……いや、嫌だ! 嫌!」 息を切らし、震えながら抵抗を続けたが、吾妻はシャツと靴下だけにされてしまう。それでも逃げようと四つん這いになって槇から離れたが、足首を掴まれ引きずり戻された。 背後から覆い被さってきた槇が低く告げた。 「いい加減に観念しろ。お前の抵抗は余計に興奮するぞ」 「は、はぁッ……嫌だッ! 絶対……絶対に嫌です!! こんなことっ……許されるはずないっ! 最低です!」 「一度でもココで味わってしまえば……同じ事は言えなくなるぞ」 ココ、と言って、槇は吾妻のアナルにそっと触れた。 「やめてッ! そんな……そんなところ、触らないでくださいッ!」 「アナルは初めてだろう?」 「やめて! やめてください! お願いだから……ッ!」 吾妻はシーツを握り締めて、首を左右に打ち振って哀願した。槇は吾妻の耳元で再度問うた。 「答えるんだ。男とのセックスは初めてだろう?」 槇の気が変わってくれる事を願って、吾妻は必死に頷いた。 「女とは?」 「ないっ、無いです! だからやめてください……僕は無理です……僕にはできません」 やっぱり処女で童貞か。 今時は十代の若者でさえ性に奔放だ。自分の体の下で震える男が真っさらだという事実は奇跡に等しい。 何も知らない肉体を自分好みに開発していく。それはたまらなく魅力的な行為に思えた。 槇は吾妻に対して嗜虐心のような支配的な感情を煽られた。吾妻が怯え、抵抗すればするほどに槇の下肢は熱く、重くなっていく。 「お前は何もしなくていい。俺が全部教えてやる。ケツの孔で感じさせてやる」 「うそ……嫌だ、そんなこと嫌だッ!」 「大人しく寝っ転がっているだけでいい。感じさせてやる。お前は俺に任せて、気持ちよく鳴いていればいい」 「そんな、そんな……できませんッ……お願いします。許してください。お願い、お願いです。僕には、僕は嫌だッ! お願いだからっ……」 「駄目だ」 吾妻にとってはまるで死刑宣告のような言葉を、槇は甘い声で囁いた。

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