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やさしい裏切り者
「寒い! これ! 二つの意味でだけど!!」
肩が大きく露出した、キャミソールワンピースのサンタ衣装に着替え、悲壮な顔をしながら紗葉良は斗貴央の元に戻って来た。
「かわいい!!」と鼻息を荒くして恋人は大絶賛でスマホのシャッターを切っている。その頭にはなぜかセットで入っていたサンタ帽が乗っかっていたが、サイズが合わないらしく言葉通り乗っているだけだった。
「写真ダメって言ったじゃん! 消せ! 撮らないって約束したから着たのに、コラッ!」
「見せない! 誰にも見せないからぁ〜!」
大きな図体を丸めて斗貴央は必死にスマホを奪われまいと、紗葉良に背を向け腹に隠す。背中に思いっきり紗葉良が体重をかけても、斗貴央は全く動じる気配がなかった。
「もう、ホント、バカップルだよねー、俺たち」
諦めたのか、呆れかえるように紗葉良はケラケラと笑って大きな背中に頰を寄せ、瞼を閉じる。
「でもいいんだ、斗貴央が喜ぶなら、何でもするよ」
「へっ! 今のもっかい! 録音して着信音にする!!」
「……えーと、ソレは斗貴央の人生が色々と終了するから辞めようか」
斗貴央は身体を起こして紗葉良を正面から抱き締めた。肩に顎を乗せて気分良く抱かれているといきなり尻を掴まれて「ひゃっ」と紗葉良は声が出た。
長い指が這うように太腿に進んでするりとスカートの中に忍び込む。スカートの下は完全に無防備で何も着いていなかった。すぐに後ろの孔を指で押されて紗葉良の腰がビクリと揺れた。
「ここ――柔らかい……シャワー、した?」
「だって……する、でしょ?」
顔を赤くした紗葉良が恥ずかしそうに小さい声でそう漏らす。スイッチの入った斗貴央は紗葉良の細い腰を掴んで軽々と持ち上げ、そのままベッドに降ろし、後ろ向きで四つん這いにさせる。
「なっなに? 後ろするの? だったら俺にもさせてよっ、ねっ?」
「後でね」
「後でって、斗、斗貴央ッ、ヤダ!」
斗貴央は紗葉良のスカートを有無を言わせず捲り上げて小さく丸い尻を露わにさせた。
「やめて、ヤダヤダ!!」
後ろを向けた顔を真っ赤にして必死になる紗葉良の声など全く聞こえないかのように少し柔らかくなってヒクヒクと戦慄く敏感な場所に舌を這わせた。
「しないでっ、そんなコトッ……ヤダ……ッ」
縁をくるりと舐めてから舌の先端で中を弄ると、紗葉良はすっかり声を失って顔をうずめたシーツを握りしめながら涙目になっていた。
分厚い舌が容赦なく紗葉良の中も外も這い回る。
「やっ、あっ……ダメ……ッ……」
挿れた中指で内側をなぞると紗葉良は腰をビクビクと痙攣させた。紗葉良の弱い場所に指を当ててぐちゅぐちゅと音を立て、いやらしく動かすと紗葉良はより一層声をあげる。
「あっ、あっ……っ、イッ……イッちゃ……っ」
中で動く指が二本に増え、少し早く責め立てると耐えきれなくなった紗葉良がビクリと腰を跳ねさせ自身の太腿をいやらしく濡らした。
「……はぁ……、あ……っ……」
身体を赤く染めながら紗葉良は肩を揺らして呼吸を整えていた。しばらくぼうっとしていると、耳元まで斗貴央の声が近付く。
「――して? 紗葉良」
涙で潤ませた目を薄っすら開いて紗葉良はゆっくりと身体を起こした。
慣れた手つきですでに起き上がった斗貴央自身を手に包み擦り上げる。
普段の純真そうな装いからは想像もつかない程、紗葉良はいつも大胆で、ピンク色の長い舌を器用に動かしてはその塊を愛撫してみせる。
角度を変えながら音を立てて強く吸い上げる仕草は獣のようで、そのギャップにいつも斗貴央は激しく興奮した。
だが、それと同時にいつも余計なことを思い出す。
普段は穏やかで柔らかい紗葉良が、こんなに男を喜ばせることに長けているのはあの男の教育の賜物なのだと。
何もくれない男の気を引きたくて、喜ばせたくて、必死に覚えたその手管で今は自分が気持ち良くさせられて――悔しいような、なんとも形容しがたい複雑な気分になる。
「紗葉良……ッ、俺、もう……っ」
「んっ……」
斗貴央は紗葉良の口の中に全部を吐き出してしまう。少し咳き込みながら紗葉良はハアハアと赤くなった唇を濡らしていた。
生理的な涙の滲む紗葉良は、無駄にデカイ恋人のモノにいつも本当に顎が痛いと心の中で嘆いていた。
斗貴央が差し出したティッシュで口を拭っていると自分を見つめる熱視線と目が合い、合ったかと思った瞬間に太腿を掴まれゴロンと転がされた。
「ね?」と短く懇願され、紗葉良は訳もわからず「えっ?」と口にするが、既に願いは勝手に叶えられ、あっという間に奥まで熱い塊で貫かれる。
「ひあっ! あっ! ダメッ、ゆっくりしてっ……あっ!」
「ムリ……ッ!」
さっき一度出したばかりだというのに斗貴央の雄は十分すぎる硬さで紗葉良の中を激しく動き回る。
「スゲ……気持ちぃ……っ、大好き、紗葉良……」
震えながらひどく愛おしげにそう告げられ、紗葉良は結局どんな斗貴央も許してしまう。
「もーっ! なんでもしろっ!」
ヤケになったみたいに紗葉良が言い放つと言葉通りに斗貴央は自分勝手に動いた。
乱暴に見えて、それでも最後の最後は理性で留まり紗葉良が傷付かないように必死に我慢しながらぎりぎりまで強く抱く。初めてした時よりずっと慣れた深いキスで繋がっては愛しい名前を呼んだ。
「紗葉良……」
「……なに……?」
「もう……絶対……、絶対、何処にも行くな……」
「うん……、行かない――、ここにずっといるよ……」
不安そうに自分を見つめる斗貴央が素直に愛しくて、紗葉良は力一杯に抱き締める。
「ウソじゃない?」
「うん……。指切りげんまん、するよ――」
「……うん……うん――」
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