8 / 126

第8話

図書館で寝るのにベストな場所は、2階にある視聴覚ブースの一番奥。 狭くて暗くて、ここを使おうって奴があんまりいないんだ。 視聴覚ブースは1人用のネカフェみたいな作りで、ヘッドホンを付けて適当にテレビをつけておけば、勉強してるようにも見える。一挙両得です。 スマホで目覚ましセットして、ヘッドホンしたままデスクに突っ伏す。いつもの昼寝スペースは俺以外誰も居なくて、ホントに昼寝にピッタリだ。 (今日はバー行こっと) 先週まで実習に行ってたせいで、そのまとめとかもあって、全然バーに行けてなかった。 今日はバイトも休みだし、そろそろ飲みたい感じだし。兄さんにも会ってないし。いるかどうかわかんないけど。兄さんもいろいろ忙しいみたいだし。 昼寝終わりの講義受けたら、もう今日は終わりだし、一旦帰ってシャワーでもあびてこっかな。 トロトロしながらそんなことを考えてたら、いきなり肩を叩かれた。 「うぉっ」 変な声出しちゃった。おもっきり肩が震えた。 ヘッドホンを取ると、もー、またここに居たの?って言われた。ヒステリーっぽい女の声。 「はっ?」 置きながら振り返ると、同じゼミのコが立ってた。 もともと今時っぽい感じのコなんだけど、今日も今日とていい感じに髪もゆるふわ、白のプルオーバーにロングスカート。でかいリングのピアスが邪魔そう。 「おお、今日も綺麗じゃん」 見つかっちまった。ちょっとガッカリ。 本音を隠してヘラっと笑うと、バカじゃんって怒られた。 「ねー、メッセしたでしょ、今度買い物付き合ってって!既読スルーで全然返信してこないし、何なの?」 腕組んで怒ってる。こりゃまずいかな。

ともだちにシェアしよう!