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第8話
図書館で寝るのにベストな場所は、2階にある視聴覚ブースの一番奥。
狭くて暗くて、ここを使おうって奴があんまりいないんだ。
視聴覚ブースは1人用のネカフェみたいな作りで、ヘッドホンを付けて適当にテレビをつけておけば、勉強してるようにも見える。一挙両得です。
スマホで目覚ましセットして、ヘッドホンしたままデスクに突っ伏す。いつもの昼寝スペースは俺以外誰も居なくて、ホントに昼寝にピッタリだ。
(今日はバー行こっと)
先週まで実習に行ってたせいで、そのまとめとかもあって、全然バーに行けてなかった。
今日はバイトも休みだし、そろそろ飲みたい感じだし。兄さんにも会ってないし。いるかどうかわかんないけど。兄さんもいろいろ忙しいみたいだし。
昼寝終わりの講義受けたら、もう今日は終わりだし、一旦帰ってシャワーでもあびてこっかな。
トロトロしながらそんなことを考えてたら、いきなり肩を叩かれた。
「うぉっ」
変な声出しちゃった。おもっきり肩が震えた。
ヘッドホンを取ると、もー、またここに居たの?って言われた。ヒステリーっぽい女の声。
「はっ?」
置きながら振り返ると、同じゼミのコが立ってた。
もともと今時っぽい感じのコなんだけど、今日も今日とていい感じに髪もゆるふわ、白のプルオーバーにロングスカート。でかいリングのピアスが邪魔そう。
「おお、今日も綺麗じゃん」
見つかっちまった。ちょっとガッカリ。
本音を隠してヘラっと笑うと、バカじゃんって怒られた。
「ねー、メッセしたでしょ、今度買い物付き合ってって!既読スルーで全然返信してこないし、何なの?」
腕組んで怒ってる。こりゃまずいかな。
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