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第10話

昼寝のち講義。無事に終えて今日の俺の仕事は終了。 帰り際、学内のコンビニに足が向いた。フリスク切らしてたの思い出したのね。 ブラックベリー味のちょっと辛いフリスク、かなりお気に入りなんだけど、チェーン店のはずなのに、大学のコンビニで売ってるのしか見たことなくて。そのフリスク買うために常連になっちゃってる。 「お、あったー、しかもラスイチじゃん!」 下から2段目の棚が定位置だった。ついでに缶コーヒーも持ってレジに並ぶ。 地味に混んでた。まぁいっつも空いてる方が珍しいんだけど、それにしたって混んでる。ずらっと5、6人も並んでるのなんて珍しい。 この後昼寝の予定だったから、待ってたって別にいいんだけどさ。 「らっしゃいませ~」 順番が近づくにつれ、声が聞こえてきた。すんごい小さい声で、ポソポソっと話す感じ。ぶっちゃけ、仕事できなそうな感じっていうか。 チラッと前を覗き込むと、細っこい体と黒髪が半分だけ見えた。違和感があった。 (あれ) 常連だから、大体どんなバイトが入ってるか把握してる。バイトはみんなうちの学校の学生で、話したことないだけで顔とネームプレートは嫌でも覚えてる。けど。 (初めて見る奴だな) 記憶の中の顔とネームプレートに一致しないやつが、レジやってた。なるほど、混んでる理由が合点がいった。 待つこと数分、やっと俺の番になる。 「らっしゃいませー」 さっき聞いた、小さくてやる気のなさそうな声。男だ。 ふわっと長い前分けの黒髪と、キレ長い眉毛と目。少し伏し目がちで長い睫毛。綺麗な男って感じだった。

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