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第21話
講義を受ける上で1つ問題だったのは、例の女の子も同じ講義を取ってて、大体俺の前後の席を陣取ることだった。
「席取ってたよ!」
最悪の場合は隣。階段状の講義室なのに、激混みだったから今日は隣だ。
「もー、いちいち取んなくていいってば」
いつも言うのに、全然効かない。
「取っててあげてんだから感謝しなさいよ」
ふん、とそっぽを向く。とりあえず隣に座り、教科書とノートを開いた。
「ねぇあのさ」
先生が入ってきて、少し空気がしゃんとなる。
その途中に臆せず声を出した。
「何?」
ポソポソと尋ね返す。向こうもポソポソした声で返してきた。
「友達からさ、映画のチケットもらったの。一緒に行こうよ」
「映画? なんの?」
「イギリス映画。恋愛映画なんだけど」
「恋愛映画」
ヤベェ。全然興味ない。けど、断りまくってるせいか、悪い気がして曖昧な返事をしちゃう。
「行けそうならいいけど」
「いつならいい?」
「いつ? んー、そうだなぁ」
根が真面目ってこういうとき損ね。
「来週の火曜日から大丈夫、かな」
夜も翌日も予定のない日を教えちゃってた。
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