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第22話
「来週の火曜ね? じゃあよろしく」
表情は涼しいのに、声は本当に楽しそう。それがちょっと薄ら寒いっていうか。別にこの子のこと嫌いじゃないんだけど、なんでだろうなぁ。
そのまま講義が始まってうやむやになってしまって、無理矢理気を取り直すしかなかった。
講義後、ざわついた室内の空気に紛れて、隣の席の彼女に目もくれず、そのまま廊下へ出た。
足早に立ち去るに限る。外に出ちゃえばもう探すこともできないだろ。
どうしてもそのまま絡まれるのが嫌で、サッといなくなっちゃうに限る。
俺だってさ、わかるよ、そうやって親しくしてくれてるところから、彼女が出来たりすることくらいさ。
兄さんが言ってた通り、軽い気持ちで始めるのももちろんいいと思う。
けどねぇ、なんか違う。そもそも彼女じゃない気がするの、そういう、付き合うとかどうとかいう相手じゃない気がする。ただの友達って感じでさ。
いろいろ思いながら歩く途中、前から来た二人組の男が、親しげに手を振って来た。
「……ん?」
誰だ?
ちょっと考えてやっと思い出した。
「久しぶりー、この間の変な奴!」
話しかけられて確信した。
「あー!スノボサークルの奴!だっけ?」
ものすごいキス魔がいるって話してた奴らだ!
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