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第30話
ビールが届いたのを機に話がすぼんだ。
「はーい、座ったまんまでいいから、みんなグラス持ってー!」
乾杯までしてしまうと早くも飽和状態になって、俺のリアクションなんてすっかりなかったことみたいになってて。
とはいえ、俺と隣の彼だけは違ったけど。
「ったく、なんでいるんだよ、しかも隣に来やがって」
軽い舌打ちと共に、彼が言った。
「最悪」
露骨にため息を吐かれても、彼に対する意識や興味の方が優って、何にも感じない。
「マジー? 俺は嬉しいけど」
ニコッと笑うけど、彼はビールをぐっと煽るだけで、何も言わない。
「スノボサークルだったのかよ、スノボやりそうな感じじゃないのに」
「……」
「すげーよな、俺全然ウインタースポーツやんないから、できるやつすげーなーって思うわ」
「……はぁ」
大きい溜息。けど、構わず残り少ないグラスに無理やり乾杯した。ちょっとびっくりした顔をしてる。
「ビール好きなの? ビール」
「うっせーな」
「いいじゃん教えてくれたって~」
「……」
積極的に絡んでたところに、スノボサークルのノリのいい連中にアクティブに絡まれた。
「よろしくなー、来てくれてありがと!」
「お前何学部っ?」
「何年?」
矢継ぎ早に質問されて、ちょっと戸惑いながらノリで答える。
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