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第31話

「きょーいくがくぶの3年生!よろしくー!」 「教育学部か!よろしくなー!」 「うちのサークル教育学部の奴は5人くらいしかいないな。下ばっかり」 「下じゃわかんねーわ、同じゼミでやっとだし」 何のサークル入ってんのとか、バイトやってんのとか、本当にどうでもいいことをダラダラと話し続けて、隣の彼のことを忘れるほどだった。 もともと飲み会とか好きだし、この通りあんまり人の迷惑も考えないから、ボーダーレスに打ち解けられる。これは履歴書に書ける強みかな。 酒の進みも良く、弱いくせに飲んじゃうから、ポンポンとビールのグラスを開けていく。 気づいたら、飲み会が始まってもう1時間以上過ぎてた。 「はーい、そろそろ中締めにするよー」 幹事が手を叩きながら言ったのにハッとしたほどだ。 「はぁーもーお開きー?」 まだ理性はある。ビールは4杯くらい空けた。 「飲んだぁーダメだもー」 改めて見るとドッと酔った気がして、テーブルに肘をついて頭を支える。 「結構強いじゃん」 「飲むねぇ」 口々に言われると調子こいて、あざっすって適当にお礼を言った。 一息ついたその瞬間だった。 いきなり肩を掴まれて、ぐっと引っ張られたのは。

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