35 / 126
第35話
我ながらもう嫌いの域かもしれない。
文面をチラッと見ただけでげんなりする。
ー今どこ? あたし今バイト終わって学校行くとこなんだけど。ちょっとお茶しない?
しないっつうのに。
来たバスに乗り、そのまま降り口近くに立ちんぼしたまま返信する。適当に返そっと。
ーごめん、俺ちょっとセンセーに呼び出されて、これから教授棟行かなきゃなんないから。
嘘も方便ということで。もう罪悪感もなく、ただただ遠ざけたくてそのまま打って返信する。
その後が怖かった。
ーうそつき
(は?)
揺れる車内で目を丸くする。
何このすごいインパクトの4文字。ホラー映画?
すぐに追加で返信がくる。
ーバスの後部座席みて
だからめっちゃ怖いって何これ!
変な汗かくのを感じながら、ゆっくりバスの後部座席を見た。
一番後ろの席の隅っこで、ひらひらと指だけ動かしてこっちを見て笑っていた。
マジで叫びそうになったのを、他の客と運転手の手前、ぐっと飲み込んだ。俺エラくない?ヤバいよね?
流石にスマホの画面越しに会話するのも不自然で、怖いながらも後部座席に足を向けた。
向こうは、スマホをバッグにしまったところ。
ともだちにシェアしよう!