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第35話

我ながらもう嫌いの域かもしれない。 文面をチラッと見ただけでげんなりする。 ー今どこ? あたし今バイト終わって学校行くとこなんだけど。ちょっとお茶しない? しないっつうのに。 来たバスに乗り、そのまま降り口近くに立ちんぼしたまま返信する。適当に返そっと。 ーごめん、俺ちょっとセンセーに呼び出されて、これから教授棟行かなきゃなんないから。 嘘も方便ということで。もう罪悪感もなく、ただただ遠ざけたくてそのまま打って返信する。 その後が怖かった。 ーうそつき (は?) 揺れる車内で目を丸くする。 何このすごいインパクトの4文字。ホラー映画? すぐに追加で返信がくる。 ーバスの後部座席みて だからめっちゃ怖いって何これ! 変な汗かくのを感じながら、ゆっくりバスの後部座席を見た。 一番後ろの席の隅っこで、ひらひらと指だけ動かしてこっちを見て笑っていた。 マジで叫びそうになったのを、他の客と運転手の手前、ぐっと飲み込んだ。俺エラくない?ヤバいよね? 流石にスマホの画面越しに会話するのも不自然で、怖いながらも後部座席に足を向けた。 向こうは、スマホをバッグにしまったところ。

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