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第37話
「……」
ワァオ。
なんとなく察してはいたけど、そうハッキリと言われると返答も出来なかった。突然このタイミングで言われるとは思っていなかったし。
「だから、露骨に避けられるの嫌なの」
「……あ、うん、ごめん」
とはいえ、俺は彼女のことは好きではない。
「気持ちは有り難いけど」
顔は見ないままぽそっと呟くと、かぶせるように「だからね」と言う。
「だから、少しだけ付き合って」
凛としてて、逆らうことも出来なさそうな感じ。
それからしばらくお互いだまりこんでしまって、ホントにこんなに長時間バスに揺られたのは初めてだなってくらいピリピリと緊張していた。
疲れた。付き合えってどこに行くっての?帰りたいんだけどな。
今後に及んで自分のことしか考えてない辺りが、我ながらホント最低だと思うけど。
バスは、俺がいつも降りるより2つ手前の停留所にもうすぐ着くところだった。繁華街の隅っこみたいなところで、夜になると飲み屋崩れが行き着く先みたいな、いかがわしいキナ臭い場所。
彼女が降車ボタンを押した。
「えっ」
思わず声をあげた。彼女は動じない。
「降りるよ」
促されて、無理矢理席を立った。
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