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第51話
「お前もウダウダしてねぇで、さっさと彼女でも見つければいいだろ」
兄さんは適当に流すみたいに言って、追加のビールを注文していた。
そうだ、ウダウダしている場合じゃなかった。一度決めたからには、きちんとお近づきになってやる。
兄さんに頼らなくても、ちゃんと自分で解決してやるわ!
「わーった、じゃあ彼女作る!兄さんいない間に彼女作ってやるからぁ!」
俺もいい感じに酔いが回ってるせいで、もうテンションめちゃくちゃ。兄さんは兄さんで、バカンスに頭が飛んでるみたいだし。
「海パン必須だろ、あと日焼け止めも、サングラスと。明日パスポート取りに行かなきゃ」
「なんだかんだ言ってちょっと楽しみなんじゃん、大富豪に会うの」
散々面倒くさそうなこと言ってたくせに。すっかりバカンスモードだ。
「まーな。すげぇ別荘らしいから」
適当に返された。
こうなったら兄さんもアテに出来ない。
俺1人で勝負しないとですわ。
鼻息荒くビールを飲み干すと、事切れてそのままカウンターに倒れこんだ。
「ばーか、寝てんじゃねぇよ。送っていかねぇからな」
兄さんの呆れた声を遠くに聞きながら、そのまま寝てしまった。
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