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第55話
ムキになるその顔がすごい可愛い。胸の奥がきゅっとなるのを、あぁこれが恋なんだろうなって変に納得しちゃう。
「聞いて、どうすんだよ」
おどおどしてるのがちょっと新鮮。
「どうって言われてもなぁ。うーん、なんか連絡するよ」
「やっぱ俺に連絡先聞いて仕返ししようってんだろ?」
「しねぇよ!どんだけ性格悪いの俺!」
疑り深いんだから。彼の性格の一面を知った気分だ。彼と対峙したことで、自分の中の探究心が強く疼くのを感じる。
「ホントに、友達として連絡先知りたいだけ。交換しようよ、連絡先」
友達としてなんて嘘みたいなもので。だって下心満載なんだもん俺。
彼は少し考え込んだ顔をして、軽く頷いた。
「……うん、いいよ」
「……え?」
聞いといてアレだけど、想定外だった答えに目が丸くなった。
「教えてもいいよ、連絡先」
「マジで?」
「別に、うん」
あんだけ俺のこと毛嫌いしてたくせになんだ急に!ちょっと怖いくらい。
でもじわじわと足元から這い上がってくる喜びが、そのまま頭のてっぺんまで突き上げてくる。
「マジか!超嬉しい!うぉぉぉすげぇ!」
レジの前で大騒ぎ。店内の客が全員俺を見るほどの。
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