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第64話

(……もしかして) 部屋にいるのは、先生? (いやいや、居たとしてもだよ) あのロマンスグレーが講師室にいたとしても、俺がここに呼ばれた理由がわからないし。 いつかの夕暮れ時に見た痴話喧嘩の様子を見たら、ちょっと緊張した顔してたのはなんとなくわかる気はするけど。 (あ、もしかして) あれか、仲直りするのに万が一喧嘩したとしたら、俺に仲裁させようって魂胆か。俺だったら文学部じゃないし、仲裁に入って気まずくなったって直接会うこともないんだからワンクッションとしては役に立てる。偶然、あの時あの場に居ちゃったわけでもあるし。 (なるほどなぁ) 推定の域を出ないけど、今出せる結論としてはこんなところかな。 でもそうだとしたら、俺の恋はここで終了……なのではないだろうか。 俺の推測が正しいとしたら、俺って彼らの恋愛の噛ませ犬みたいなポジションじゃん。 (うわー……俺こんなところで何やってんだろ……) もちろん全部仮定だけど、連絡先教えてもらっただけで舞い上がっちゃってバカみたい。 ここにいてくれてこと以外彼から何も言われてないし、本当は俺が考えてるのと全然違うことかもしれない。ただ先生に用事があって、その後ちょっと暇だからお茶しようっていうだけの話かもしれないし。そうだ、俺お茶に誘われたのかもしれないし!

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