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第77話

視線が泳いでる。男に迫られるのが嫌で拒否したのに、また男に迫られてんだもん、泳ぎますよそりゃ。 俺は別に、ここで思い切って思いを伝えられたから、もうどう思われようがどうでもよかった。付き合ってもらえるとは思っていない。好きだって知ってもらえただけいいっていうか。それだけでも気持ちが随分すっきりしたから。 でも、結果的に彼を困らせてしまったのは不本意だな。 「ごめん。いきなりこんなこと言って。ホントごめん!」 両手を合わせて頭を下げる。 「黙って女と付き合ってりゃよかったんだろうけど、どうしても出来なくて。ちゃんと言えてよかった。でも、戸惑わせてごめん。忘れて、この話」 それこそ、忘れてって言ったところで忘れられないんだろうけど、忘れてほしかった。先生と付き合ってなかったってだけで俺には朗報なのに。 彼はしばらく黙ってから、俯き気味のままため息をついた。 「戸惑いは、したけど」 なんとなく聞き取れるくらいの小さな声だった。 「俺だって、知らないでお前を利用したから、ごめん」 そして小さく頭を下げる。 「いや、なんか、びっくりして、なんて言ったらいいか」 目が泳いでる。まつ毛長いなぁ。

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