78 / 126

第78話

「いや、ごめん、本当にごめん」 いくら謝っても、謝罪の言葉しか出てこない。 「でも、お前のこと、本当好きなんだ」 「……」 頷いた彼の視線が、まっすぐ俺に向けられた。 「そんなに、謝らなくていいよ」 真っ直ぐに見つめられすぎて、頭がクラクラするくらい緊張する。 「人に好きって言ったくらいで、謝んなって」 「……え?」 「なんか、悪いことしてるみたいじゃん」 「えっ」 「好きになってくれたのは嬉しいよ、ありがとう」 軽く頭を下げた。 「え、でも嫌だったんじゃ……」 そもそも男と付き合うなんて考えられないって言ってたのに。 「先生は、ほら、いきなり触られたり抱きしめられたりとかしたからさ。そんな人イヤじゃん」 「あ、そっか……」 「お前は、なんか違う感じ」 まっすぐ見つめられたまま言われると、本当にドキドキが止まらなくなる。 「違うって、何が?」 「なんか、本当に好きって想ってくれてるって感じがする」 まるで他人事みたいに言われて、ちょっとムキになる。 「いや、そりゃ好きだもん、お前のこと。あんまり詳しいプロフィール知らないけどさ。でも、なんかそばにいたいなって思うんだよ、よくわかんないけど」

ともだちにシェアしよう!