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第86話
「お待たせ」
頬杖を着いてつまらなそうにしていた。その横顔がすごく綺麗だった。目鼻立ちがすっとしていて、頬に触れる指もほっそりしていて、俺と付き合ってる人だなんて信じられないくらい。
「遅い」
ツンとしているところもすげぇ可愛い。ホントベタ惚れだな俺。
「ごめーん。これでも早い方のバス乗ったんだけど」
「嘘だよ、俺も今きたところ」
ほんのり笑う。この感じは確かに普通の男友達じゃない、付き合ってるって感じがしてイイ。ついニヤニヤしちゃったのを見て気持ち悪いって言われたけど。
「だってぇ、しょうがないじゃん、お前可愛いんだもぉん」
「うっせぇな」
ムスくれてるところも可愛い。そのまま席取りしてもらって、俺は彼の分の昼食も買いに行く。
「ほい、ご注文のロコモコ丼」
「ありがと、いくら?」
「いーよ、奢ってやるって学食くらい」
「マジ?」
じゃあ、ごちそうさま、と言いながら手を合わせる。
俺は焼き肉定食。向かい合わせの席で食べた。
「今日午後からなの?」
口いっぱいに詰め込んだところで話しかけられて、のどに詰まりそうだった。
「食べてからでいいから」
「ひょほ、ひゃんこま」
「今日3コマから?」
「ひゅん」
大きく頷く。無理矢理肉を飲み込み「お前は?」と訪ねると、目が合った。
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