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第109話

さすがに信じられないか。俺も今思えば信じられないことしたなと思うもん。 「いや、マジなの。引くかもしんないけどマジで」 「ええ……っ」 「や、引かないで、そんな悪い思い出じゃないから」 手でストップをかける。言うんじゃなかったかなぁ。でも、本当に悪い思い出じゃなかったし、別に後悔もしていないし。 「すげぇ優しい人でさ、カッコよくて。ホントは嫌だったのかもしれないけど、俺の童貞卒業のために一肌脱いでくれて。たまにいくバーの常連さんで、超仲良しなんだけど」 「え、今でも交流あるの?」 「うん。いや、それっきりヤってないけどね。普通に飲み友達みたいな」 あまりにも気負わずスラスラ話すと、彼も何を思ったのかふぅんと呟くだけだった。 「でも、他人とヤった話とかされても、全然いい気分しねぇんだけど」 ただ、無表情でハッキリとそう言われて、ちょっと背筋が伸びた。 向かい合って改めて触れ合わせるキスをすると、お互いに自然と舌が潜り込ませて深いキスになる。この時ばかりは、自分の体の大きさに感謝した。キスをしながら背中を撫で、そのまま腰のあたりまで撫でる。唇を離したついでに肩に顎を預け、丸いお尻を辿る。途中になっていた穴を弛緩させる作業に取り掛かる。 「っ、あ」 耳のすぐ横で彼が喘ぐ。我ながらベストポジションだった。弛緩させるのに必要なアイテムのことをすっかり忘れていて、穴に触れた瞬間に思い出した。

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