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第111話

代わりに後ろから寄り添って抱きしめるみたいに密着する。 「えっ」 彼の背中がしゃんと伸びる。彼のお尻に俺の下半身が当たる。挟み込むように押しつけながら、ぬめりを彼の穴の周囲に触れさせた。 「や……っ」 彼の甘ったるいあえぎ声が、再び漏れ始める。背中越しにも体が小刻みに大胆に震えるのを感じた。 もっと気持ち良くしてやりたい。男相手にやるのなんて兄さん以来なんだけど、自然と体が彼を求めてしまう。女の子みたいに自然に、でもそれ以上に丁寧にやろうと気を引き締める。 「力抜いて。痛くしないから」 努めて優しく刺激する。緊張をほぐすように首筋や肩に何度もキスを落とす。その間にゆっくりと穴の周辺から解していく。皺の一本一本を指でなぞって伸ばすように、丁寧に丁寧に。 「へんっ、な、かんじ……」 細い手首の関節が浮いて見える。シーツを強く握りしめているのも見えて、思わず息を飲んだ。 「大丈夫、少しずつほぐれてるよ」 安心させたくて少し笑いながら囁いたけど、笑った感じも引きつってるからどうしようもない。けど、安心させたい気持ちは本当。精一杯優しくしてあげないと。 「絶対気持ち良くしてやるから」 直に耳に囁きながらローションを継ぎ足し、中指を一本、中に入れる。

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