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第114話

「もー、ホント可愛い」 笑いながら呟くと、パッと俺の顔を見て、赤いほっぺたのまま、ものすごく不満そうに唇を尖らせてるのだった。 「人のこと可愛い可愛い言いすぎなんだよお前っ」 「なんで? だって可愛いし」 「だからぁっ、俺男だからあんまり嬉しくない」 言い方がたどたどしいのもめっちゃ可愛いんだけど、そう言ったら怒るんだろうなぁ。 「でもさぁ、俺、付き合ってる人がこんなに可愛いなんて、すげぇ幸せだけど」 見た目だけじゃなくて中身も可愛いなんて、すげー贅沢じゃん。これで明け透けな性格だったら、正直萎えてたと思う。 「清楚でー、しっかりしててー、華奢でー」 指折り数えると、ますます顔が赤くなる。 「だからそういうのやめろって!」 「なんでー? 全部本当のことをじゃん」 「やめろっ」 本当に顔真っ赤にしてる。こんなに恥ずかしがり屋な奴見たことない。 その姿を見てるだけで、心があったかくなる。ちゃんと寄り添いたくなる。 こいつを好きになってよかったなぁ。 気持ちが抑えきれなくてまた抱きしめると、今度はわぁっなんて声を裏返すし。 「もー、マジで好き。付き合ってくれてありがとう」 何の不満もない。 不安がないと言ったら嘘になるけど、出来る限りの愛情は表現は全部やってるつもりだし、これでダメになっても悔いはない。

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