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第116話

「な?」 そして額をくっつけてうっすら微笑んだ。 その瞬間、もう本当に駄目だった。 体を一気にベッドに押し倒して、手首を抑える。 「もう無理、ごめん、入れたい」 全然余裕ないすごい顔してると思う。リードしてやりたいと思ってたのに、やっぱりカッコつけだけでそんな風には振る舞えなかった。自分の中にあるホントに狼みたいな獣みたいな欲望を、なんとか抑えつけてる感じで、いつ扉が暴かれるかわからない。 そんな俺を見あげて、彼は緊張感を漂わせたまま、殊更穏やかに微笑んでくれた。 「いいよ、入れて」 「……マジ?」 「その代わりガツガツやってきやがったらブン殴る」 「か、加減できるように頑張ります」 かしこまると鼻で笑われた。 「少しくらいなら大丈夫だけど」 「緊張してんだから変なこと言うなよぉ」 「ごめん、俺も緊張しすぎて、さっきから何言ってんだかわかんなくて」 掴んだ腕が少し震えていた。腕を解放すると、そのまま縋るように抱きついてくる。 「わかんない、もし無理そうだったら途中でダメって言うかもしれないけど」 おどおどした感じがすごく愛しい。押しつぶさないように注意しながら、彼を抱きしめる。 「無理そうだったら止める。それはホントに止める。お前の体の方が大事だし」 「……うん」 「ちょっと準備しよう」 体を起して、彼の腰の下に枕を置く。腰だけ浮かされてる違和感か、彼が顔をしかめる。おかげで、もうトロトロに解れた彼の穴に、俺のを入れやすくなった。

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