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第120話

「やっ、だ、こえっ」 「声?」 「へんだも……ぉ」 声が変だって言いたいのか。 「めっちゃ可愛いよ」 だって、俺にしか聞けない声なんだから。またムキになって可愛くないって言うのを押し込むように、何度も抜き差しを繰り返す。 「やぁっ、あっ、うっ」 髪を振り乱して嫌がるのに、腕はしっかり俺の体に回されたまま。脚は開かれたまま、間に俺を挟みこんだ。その全ての動きを目に焼きつけたくて、じっと見つめ続けた。 「見んなっ、あ」 腕で顔を隠そうとするけど、その手を取ってベッドに抑えつける。指を絡めた。 「やだ、見たい」 そのまま見つめながら抜き差しを繰り返す。彼は少し高い声で甘ったるく鳴き続けた。目は潤んで、せめてもの抵抗なんだろうか、俺から顔をそむける。 「ちゃんと見てよ、俺のことも」 無理やり額を重ねながら笑いかける。額まであっつい。 「も、おなか、いっぱい」 ものすごい近距離で見つめ合いながら出た言葉が、あまりにも幼くて息を飲む。 「くるしぃ、おっきくて」 意識的に言ってんのか無意識に言ってんのかわからないけど、必死な顔して言われると余計に気持ちを煽られる。 「おっきくて苦しいの?」 あえて尋ねる。自分の言ったことに今気づいたみたいな顔するし。 「バカっ」 「いいじゃーん、もっかい言ってよ、おっきくて苦しいってぇ」 「絶対言わねぇ!」 ホント不器用なんだからなぁ。 なんて余裕たっぷりに振舞ってた俺も、煽られまくってそろそろ吐き出したくなってきていた。

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